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  • 2011.04.10 Sunday
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オリジナル小説 『からくり人形は星を描く』 残骸

 


−残骸。−

 


-054&裏35-電話のやりとり-

 

僕は推測はせず、さっさと携帯の電話帳を開く。
迷うことなく名前を発見し、即座に呼び出しボタンを押す。
電話とは不思議なもので特有の緊張感があるとメール派の僕はいつも思ってしまう。

相手は3コールぐらいででた。
出合った時とまったく同じ口調だった。
僕は現在の状況を説明した後、気になって仕方なかった質問をしてみた。
電話先の人物はあの子に会いたくないのかと。
空羽の仕事のときに見た少女にして彼の片目となったあの子に。
その答えは肯定にも否定とも取れないようだった。
僕は彼女の発言に感想じみたことしか返せなかった。


「・・・話し方が似てる。家族だからかな、いちいち回りくどいよ。」

ちょっと言いすぎたかな、と悩んでいると電話の向こうから笑い声が聞こえた。
その後、彼女は皆に会いたいかと僕に問いかけた。
僕は迷わず即答で答えた。会いたくないはずがない、会いたい、皆に。

彼女は自信たっぷりにそれを引き受けて、僕にあの計画を確認してきた。分かってるよ。
と短めに答えるとまたクスクスと笑い声が聞こえた後あの回りくどい言葉が返ってきた。


「どうしてこんな事をしたんだ?」

ただの好奇心で聞いたのだが、気に入らなかったらしく何故か僕が非難される羽目となった。
暫くすると思い出したように彼女は軽やかな笑い声と共に返事が返ってきた。
ご機嫌斜めではなかったらしい。


「・・・。ありがとうとはいえないよ、でも楽しかった。」

対する僕はそんな感じで電話先の答えに少し複雑な気分で答えた。
電話越しでもそれが伝わったらしく雰囲気が気のせいか先程より真面目に感じられた。
そんな様子に僕は何も言えなくなった。


「そんなことはしない。少なくとも、僕はしない。」

更に相手の意外な言葉に僕も思わずそう言った。
フォローのつもりもあるが本心からの言葉だった。
電話から聞こえていた声は止まった。
つられて僕も無言になると、また電話先の彼女が話し始めた。


「分からないけど、そう信じればいいんじゃないかな。」

僕の気休めは通用しなかった。彼女は一方的に言葉を叩きつけた。
電話でもその必死さが伝わる。


「巻きもどしても、なにもならないんだよ。学文路。」

僕は彼女の名を口にすると彼女は元に戻ったように口調を最初の頃に戻した。


「そうしといてくれると助かるよ。」

と僕は別れの言葉を口にして電話を切った。
次に電話する場所は電話帳を開くまでもなく電話をかける。


「からくり人形は星を描く。九尾狐に会いし者、我が紙の前にRe;Startし世界を繋げ。」

 

 

−幻の055と56。別の解釈−

 

 

エピローグというか後日談にあたる話なのだが、様々なごたごたを乗り越えて僕は改めてこちらの世界に戻ってきた。
本日休業と書かれた札をぬけて僕は暁の喫茶店にいる。

ぶっちゃけ貸しきり状態だ。
若干罪悪感もあるが、きっと聞かれたくない話があるのだろう。
う〜ん、心当たりがあって否定するのが難しいぐらいだ。
さてどれから聞かれるんだろうっと思ってると僕の前にコーヒーを置きながら暁は向かい合わせに座った。
表情はいつも通り変わらない芝居がかった笑顔だった。
口火をきったのは僕だった。


「まったく、土だらけになりそうな僕を見捨てるのは酷くないかな?」

「あはは、その件はすまなかったね。でも結果的に平気だったんだろう?そうそう、俺様暁様の質問コーナーでよろしいかい?りゃりゃりゃ、返事はもちろんYESだよね。
・・・・本当はどこまで知ってたの?いや、ここは的確に言おう。いつ知って、どこまで知っていたんだい?」

「同じ質問を返すよ、学文路 其。」

「君が羽衣石 斗じゃなくて死んだ兄である事。
                  おそらくそれは黒猫か蛇に絡まれた時に入れ替わった。」


伊達眼鏡が反射して瞳は見えず、口元の笑みは消えていた。
僕に合わせてそちらの口調を選んだのだろう。


「ご名答。今度は僕が答えるよ。全てだよ、僕も弟も全てを知っている。」

 

僕は記憶を辿りながら、そう言った。
元々は鷹に出会ったときに会った少女が僕と弟をつないでくれたのだが、そのおかげで僕らはお互いの記憶や心情をリンクさせることが出来た。
いわゆる完全な双子。


「まったく困ったものだ。確かに双子の入れ替わりは小説の十八番なのだろうけど。」

「そうは言っても火影と陰火だったら分かりそうだけどね。」


と僕が言うと暁は小さく声を立てて笑った。
言った後でなんだが、僕らさえも知らないうちに彼らも入れ替わってたのかもしれない。
なにせ相手はあの癖のあるいたずら好きの双子だ、なにが起きてもおかしくない。
まぁそんな事を言っても仕方ない。


「けれど、君たちはブレがなかった。双子というよりコピーに近い。
                                                    ・・・アレを使ったのかい?」


暁のセリフに僕は頷いた。
そうなのだ、僕ら、いや的確に言えば名前のない僕は奥の手を使った。
それは目の前の暁の妹が作ったシステムにして使用されたもの。
記憶の上書きと偽りの人生の移植。死んでしまった僕が生きる唯一の方法だった。

学文路 之が祖母の死で≪不確かなる二重奏≫に化けたように。
僕の場合はこちらの世界や彼女、彼女たちがつくった人形に会うまで発動しなかったが。
なにせ、たった3歳児が作り出したシステムだ。
タイムラグがでても仕方ないし、こうやって僕が生きている事だって奇跡なのだ。
ちなみに、完全に羽衣石 斗の兄としての記憶や学文路 之に助けられた記憶が戻ったのはあの終焉のベルを聞いた後だったが。
まぁ、そんな事を言っても無意味に等しい。

 

「・・・そうか。それじゃあ限りなく一人だ。あの双子よりも姉妹よりも的確に。」


かみ締めるように暁はそう言った。らしくない表情はどことなく悲しげに見えた。


「そうだね。そんでもって今頃、お前の願いがかなったりするんだ。」

「・・・えっ?何を、言っているんだい?」

「レマや弟によろしく言っといてよ。」

「待って!待った!何を言ってるんだい?確かに私はそれを望んでいた!
でも、違う。今は違うんだよ!生きろ!生きてくれ!そんな伝言は聞かない!絶対に聞かないから。自分で伝えろよ!」

 

 


動揺を隠せない暁を置いて僕はこの世界から消えた。

 

 

 


「・・・というのは、もちろん冗談だよ。」

自身で自身を騙す事に慣れてしまった僕はそんな汚い嘘までつけられるようになってしまった事に自虐的に笑う。これはやりすぎか、と弟がよくやるように自己嫌悪をしてみたが、一人の人間として意識をもってしまった今となっては意味がない。
僕は弟と違って甘くはないのだ。


「あ゛ぁ゛!!なに?なんの遊びかい?はかりん?君をどこぞの半目男の次に殺す人リストにあげるところだったよ?マジで俺様暁様の涙を利子付きで返せ!心臓止まるかと思ったじゃないか!!」

「大人気ないよ、暁。」

「りゃっほい!その声と顔でそんなことをいうのはよくないと思うんだな!大人で遊ぶなよ!!」

「そうそう、あの紙は学文路に言われた全員の名前と人形名が入ってるんだよ。」

激怒する暁に話をそらしてみるとへぇ〜っと間の抜けた声が聞こえた。
やっぱり、知らなかったんだ。


「そうなんだって、こんな事で誤魔化されてたまるか!俺様暁様って10回唱えても許してあげないよ!」

「ちなみに弟が絵本にする予定。ちょっと楽しそうだった。」

「楽しそうな、はかるんかぁ。良かった良かった。っておい!りゃりゃりゃ・・・もういいや。」


暁は僕を叱るのを諦めたらしく自身のコーヒーを飲んだ。
忙しい人だ。表情や口調もそうだが、裏で色々考えて動いて騙して。
烈火の言った斗に話しかけるときの嘘はそういうことなのだろう。
本音を暴露すると、どうでもいい。
どうせ僕らだって嘘をついてた訳だし。
あぁ、一応言っとくと烈火の時は嘘をついたわけじゃない。
暁がいった推測は正解なのだ。

それは記憶が戻った今、確信できる。あの時に嘘はない。


「・・・それでも僕は斗に悪いから、ここを出とくよ。レマのとこにでもいる。」


暁は僕の宣言を無言で聞き流す。
暁の頭の中で僕と斗を比較し、区別しているのだろう。
入れ替わりができなくなったのは残念だが、弟と話すこともないので別にそれでいい。
そっちの方が弟も助かるだろう。


「なんだったら学文路に言って新しい@dollでも作るよ。」

学文路 之とは死んでから知り合ったが、浅からぬ仲だ。
それこそ携帯電話番号を交換するほどの。
暁は返事をしないが、僕は立ち上がってここを出ることにした。
・・・ここはもう僕の来る場所じゃない。


「それじゃあな。終わっていた話。」

「また来いよ。認識する者。」

 

後ろから暁の声が聞こえたが僕は振り返らない。

 

 

 

 


 

−からくり人形は星を描く。−

 

                              描かれた星は美しく輝いていた。

 

 



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