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  • 2011.04.10 Sunday
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オリジナル小説「からくり人形は星を描く」 51

 携帯からは読めません。
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51
 
僕は烈火から距離をとり起き上がろうとしたが、完全に起き上がれずに耳元にメガフォンを当てられたまま最初と同じように向かい合わせとなった。
泣きはらした目元は真っ赤になりながらもしっかりとした意思で烈火は僕を見る。
咎めて訴えるような目線だった。
僕は、耳が聞こえなくなった世界を考えた。
不自由するんだろうな。
もう皆の声が聞こえなくなるんだろうな。双子や暁、空羽や時雨、クラスメート、家族、夢の世界の声、そして七色にかわる少女の声も。でも、これが当然の仕打ちだ。

 

「嘘だね、救いようのない嘘だ。」


それは飾り気のない烈火の声だった。
か細いけど断言するような声だ。僕は首をふる。


「違うよ、烈火。」

「うんん、斗ちゃんは嘘をついてるんだ−ぁ。
                                烈火ちゃんは分かるの。/・・・分かってしまう。」

そんなことはないっと反論しようと思ったが別の考えがよぎる。
この反論は果たして本心なのだろうか、それとも自己を守る為の言葉なのだろうか。
嘘を認めてしまってはいけないと思っているから?心から愛しているから?
今さっき好きだとか愛してるとか想ったのはただの偽善なんじゃないか。
悩む僕に烈火は追い込むように言葉の毒針を差し込んだ。


「嘘だよ−ぉ。耳がなくなってたときから、声が震えてるもん。
                                               音が全部、ぜんぶ・・・偽りだった。」


悲しそうにつらそうに泣き出しそうに烈火はそういった。
抱きしめるようにもう一方の手が僕の首に伸ばされてる。
ただし、赤い刃を持って。冷たい感触が首筋につく。
こんな事がしたかったわけじゃないのにどうしてこんな事になってしまったんだろう。僕は一人でに考えるが答えは出そうになかった。


「この耳には聞こえてしまう。
           心の声が。心拍数、血流音、声の震え、偽りの音。・・・全て聞き分けるの。」


非常識な話だった。
それでも目の前で泣きそうになっている少女は嘘などついてないだろう。
僕にだって分かる、これは嘘のない声。
こんな風に烈火の声に耳を傾けたのは初めてかもしれない。
こんなにもこの少女の声は頼りなく弱々しいものであったのだろうか。
今まで気がつきもしなかった烈火の世界をみた。


「烈火、嘘じゃない。違うよ。」

「信じない。信じられない。ねぇ斗ちゃん、知ってる?みんな嘘つきなんだよ?暁も空羽も双子も時雨も!皆みんな嘘つきなの。信じている振りして全部嘘なの!斗ちゃんに話しかけてるときだってみんなみんな」

「烈火、・・・・・・嘘じゃない。」

「知らないだけだよ!聞かないだけ!分かってないだけ!嘘の裏側を!音にあふれたノイズの世界を!・・・つらい、つらいよ。嘘の言葉を聴き続けるのは・・・ッ!だから耳を喰った。文句あるのッ!?」


感情的になった烈火が僕の首に淡く刃を突き刺す。
痛いというならこの傷より目の前の烈火の方がよっぽど痛かった。
見てられなかった。けれど目を背けてはいけなかった。
緊張感のある状態で自然と心拍数があがっていく。
この音もきっと彼女を苦しめていると思うとつらくて仕方なかった。
止める為に死ぬなんてことは出来ないけど、それでもこの時だけは全ての音が消えてしまってほしかった。


「烈火、ごめん・・・。愛しているって本心かどうか、まだ怪しい。
                                               だからって嘘をついたわけでもない。」

思っていることをすべて話そう。
この心臓音にも負けないように全ての音の中で僕の声が一番届くように。


「でも傷つけたのは悪かった。
                最初の耳に気がついたときは静かにしてた方が烈火のためだと思って。」

「・・・ありがとう。ごめんね。/ さようなら。」


烈火の最後の声で僕は急速に意識を失った。
気のせいか分からないが最後、視界の片隅に黒猫をみた。

 



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  • 2011.04.10 Sunday
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