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  • 2011.04.10 Sunday
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オリジナル小説「からくり人形は星を描く」 50

注意書きまだです。2/21日
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50 




烈火の流した静かな涙が頬にゆるく伝う。
涙は止まらない、ぼろぼろと僕と烈火の間を縫うように流れ続けた。
それは僕の涙だったのかもしれない。そんなことは分からない。
血も含んだ涙は重くぬるく落ちてゆく。

鉄分を含んだ血の匂いと烈火の髪に染み込んだ柔らかいシャンプーの香り、そして湿った木々特有の香りが僕を包む。
烈火の力が抜けるのが分かった、ようやく刃物とメガフォンを放したらしく刃物の軽やかな金属音とメガフォンの落ちた音がした。

もういいだろう、というかやりすぎだ。
最終手段でもなんでもない、こんなの外道だ。
そんな罪悪感が自分を責め立てる。
泣いている烈火になんてことをしているんだ。
これを含めて泣いているのかもしれない。
だとしたら、僕は・・・。僕は最悪だ、最低で醜く汚い。

好きとか愛しているとか、こんな事をするために存在しているわけじゃない。
それに今さっき僕は烈火に嫌われたばっかりじゃないか。
なのに、なんでこんなことをしているんだろう。
自分が正しいとか思ってるわけじゃない、これが最善だとか認めたわけじゃない。

烈火を殴って止める事だってできたし、さっさと逃げたり、それこそ烈火の言うとおり大人しくしてれば良かったのかもしれない。
選択肢はたくさんあった、なのに、どうして僕は一番好きな子を傷つける事をしてしまったんだろう。
唇を離しても涙は滝の様に僕の頬を伝う。烈火の目も顔も耳も唇も見るのが怖くて悲しく仕方なく、僕は覆いかぶさるように烈火の肩に頭を乗せた。
甘ったるいシャンプーの香りが僕の顔いっぱいに触れる。

最悪だ。何もいえないあまりか逃げてしまう。
なんて声をかけたら一番嫌われないかなんて考えている自分に吐き気がでる。
この期に及んで取り繕って縁をつなごうなんて、ご都合主義にも程がある。
そんな自分でも烈火は赦してくれるんじゃないかなんて、そんな夢話を信じたりもしている。
いつからこんな計算高く汚くなってしまったのだろう。
いつからこんなに一人の少女に嫌われる事が怖くなったのだろう。

先程の烈火の如き怒りに満ちた悪魔の声が消えない。
あれは烈火の声で僕に話しかけられていた。
だって、そうだろう。あの場には僕しか居なかったんだから。
他の誰に死ねだの嫌いだの滅びろだの言っていたというんだ。
その言葉すらも僕は受け取らず逃げて、こんな事までして泣かして、泣いて。
馬鹿だ、救いようのない馬鹿で浅はかで底辺も突き抜けだよ。
分かっているのに、烈火から離れられないで救いを待ってたりするなんて、最低だ。

なにか言わなきゃ、謝らなきゃ、ここから離れなきゃ。
そう思うのに口は体は何も反応を示さない。
心臓だけが針が刺さったように痙攣し痛い。
じんわりと切れた傷口が開き始めて、彼女の香りをかき消すように血の香りが充満する。

烈火はなにも言わなかった。
あのいつもの語尾を延ばす甘ったるいシナモンのような声も低く重たい声も先程の怒り狂ったこの世のモノとは思えない声も、彼女の淡い赤色の口からは発せられなかった。

それがまた痛かった。
烈火がまた否定して僕の心を打ち砕いてくれたのなら割り切れたのに。
いや、諦めないのかもしれない。
自分はこんなに劣悪な人間だ、いくら言われてもこの愛情を捨てられないのかもしれない。
分からない、でも、もう、なにもない。何もできないし、しちゃいけない。
もう何も願っちゃいけない。
怒りも悲しみも楽しさも空虚さも暖かさも冷たさも欲望も愛情も、想っちゃいけない。
そんな気がした。

熱を帯びた僕らの体が急速に冷え込んでいく。
寒さの中で繋がっている場所だけ、ただ艶めかしく暖かい。とんだ、皮肉だ。

自分が嫌いになりすぎて死んでしまいたい。今ならなにもかも投げだすことが出来るような気がする反面、結局何にもできないのだと平常心の自分がいう。
無意味で無駄で無効に満ちた戯言が僕の頭を支配して離れない。
その一言が禁句だと知りながら僕は紡ぐ。





「烈火・・・ごめんね、愛しているよ。」



自分の声だと思えないほど冷たく無機物のような音だった。



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  • 2011.04.10 Sunday
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