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  • 2011.04.10 Sunday
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オリジナル小説「からくり人形は星を描く」 49

夕より注意書き

「今回は病んでいる表現と痛々しい話なので読む際にはお気をつけください。
あと、いつも通り携帯から読めません。
それではいってらっしゃいませ、お嬢様、ご主人様。」


-------------------------------------------------------------


49

 

烈火の発言に僕は何も言えなくなった。
そう、そうなのだ。僕は風が吹いて初めて烈火の片耳が存在しないことを知った。
初めて会ったときに見たのは今見ているのと逆側、つまり右耳だった。
ニット帽をかぶってることが多かったし、長い髪だったので湯上りでなければ見る機会がないだろう。烈火の左耳があるべき場所は真っ白なガーゼで真四角に塞がれ、その上から虹色の蝶柄のシールが貼ってあった。
烈火の口元にあった笑顔はもうない。
真っ直ぐ射ぬくような少女の両目が僕を見る。僕は逃げられない。逃げない。


「・・・そうだよ。」

僕の肯定に烈火は口元を緩めて再度笑った。
いつもの笑顔とは違う歪んだ悲しい笑みだった。
持っていたニット帽と耳あてを迷いもなく手を離す。
拾うべきかどうかなどと呑気な事を思っている場合じゃなった。


「ねぇ、斗ちゃん。お揃いにしようよ−ぉ!
                               きっと似合うってよぉ。ふふ、可愛いって−ぇ、絶対。」

捻じ曲がった笑みだった異常な発言だった。
僕の目の前にいるのは本当に烈火なのだろうか、そんな疑問さえ思い浮かぶほど、異常だった。
少女は短いスカートから刃物を取り出した。刃物を覆うようについてた皮で出来たカバーを地面に投げ捨てると、鋭利な刃物は暗闇の中で銀色に光り輝く。


「えへへ。ねぇ、斗ちゃんさ−ぁ、怖い?ねぇ、怖い?」

刃物を見てご機嫌そうに微笑む少女。僕は返事を返さず首を横に一度だけしっかりと振る。烈火はそんな僕を猫の様に目を細めてかすかに睨む。先の尖った刃物が僕のほうに向く。
怯まず、僕は動かない。


「怖くないの−ぉ?つまらないな−ぁ。信じてないの−ぉ?
                                                    ほら、えへへ、本物だよ−ぉ。」

そう言って、烈火は笑いながら自身の腕を軽く切った。血はすぐには出ず、傷口が開いたように緩やかにどろどろと烈火のカーディガンの間からなだれ出た。
烈火の服が紅色に染まっていく。鮮血の剣は鉄の匂いを纏いながら僕のほうに向く。
懐中電灯に当てられた烈火と刃物は妙な影をかたどって僕に迫った。

「つまんない、驚かないの−ぉ?分かったぁ!
                                  じゃ−あさぁ、耳破壊してあげるよ−ぉ。えへへ。」

烈火は光を浴びながら艶やかに強かに怪しく笑った。
それは血の気も凍るほど美しかったし、吐き気がするほどおぞましかった。
なんにしても
16歳の少女がする顔ではなかった。
烈火は冗談ではもちろんないのだろう、それは先程の怪我で分かった。
だとしたら、本当にこれはまずい。
このネジの緩んだ少女を止めなければ!僕はすぐさま先手をうつべく行動に移る。
悩んでいる暇も、躊躇している余裕もない!

懐中電灯を思いっきり烈火の目に当てて、僕は急いで目を瞑った烈火を押し倒す。
烈火の体は簡単に地面に着いた、両手を急いで塞ごうと手首を固定するが、うまくいかずに
僕の頬に刃物が当たる。


/ 放せ!触るな!殺してやる!殺してやる!
                                  お前なんか、お前なんか響き殺してやる!!!!!」

烈火が獣の様に暴れるたびに刃物が動き僕や彼女自身を傷つける。刃物はまだいい方だ。
メガフォンを使われたら敵わない。
烈火は目元に透明な雫を流し続けながら悲鳴のような呪いの言葉を紡いだ。


なにも知らないくせにっ!大人しく死んじゃえばいいのに!殺されろよ!
なにも考えず、私に従えよ!お前なんか大嫌いだ!勝手に考えて堕ちてんじゃねぇーよ!
死ねよ!終われよ!なんなの?私がなんかしたわけ?なんで勝手にそんな事想うわけ!
死ねばいいのに、滅びろよ!きらい、きらい、だいっきらい。全部いやだ。・・・・放せよ。殺してやっから、放せよ。雷鳴の如く轟かせて殺してやっから、放せッ!」

初めて聞く醜く悲惨でみっともなく聞くに堪えない烈火の声だった。
それらを無視して僕は話しだす。


「愛し愛されたいのならば、武器を捨ててキスをせよ。」

光の届かない世界を静寂が包み込んだ。



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  • 2011.04.10 Sunday
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