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  • 2011.04.10 Sunday
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オリジナル小説「からくり人形は星を描く」48

注意書きまだです。2/21日
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48
 

目的地に着いたのか、烈火は足を止めた。
それに習って僕も止まって、周りを懐中電灯と共に見渡す。
なだらかな丘であった。森に続いているのか
5メートル先には木々が怪しく生い茂っている。気のせいか、先程よりも湿気が多く服の上からしっとりと冷たい空気が触れる。
もう少し先に行ってみようと思い歩くのを再開しようとしたが、それはできなかった。
進みかけた僕の後ろにいる烈火は僕の手を強く握って微動だにしない。
気になって後ろを振り向いた、真っ黒な世界でぼんやりと烈火の白い肌が浮かび上がる。
顔色は悪く、僕の手を離して耳あての上から更に両手で頭を抱えるように耳を塞いだ。
明らかにおかしい。


「大丈夫か、烈火。どうしたの?」

僕の声に、反応した烈火は僕の顔を苦い表情で見た。
今にも悲鳴を上げそうな顔でメガフォンっと小声で呟いて、片手を僕のほうに向けた。
僕は急いで放り出されたメガフォンを烈火の片手にのせた。
烈火は受け取るや否や、大きく口を開けて叫んだ、のだろう。
実際には何も声は聞こえず、烈火がメガフォンを片手に大きく口を開けているだけだった。

何がおきているのか僕にはさっぱりだった。
でも耳を押さえていたということと先程のメガフォンで叫んだのは、恐らく繋がっていたのだろう。
音、たぶん、それが烈火に何らかの影響を及ぼしていたのだろう。
烈火は確認するように、耳あてとニット帽を外して周りを見渡す。
僕は烈火に懐中電灯を渡すべきか、少し考えて烈火を呼ぼうとした。
そんな僕らの間に夜の冷たく寒い風がすり抜ける。

たまさかだったのだろう。
烈火が振り返ったのもニット帽を取ったのも僕が烈火を懐中電灯で照らしてしていたのも。
すべて偶然で、その偶然の中で僕は新たな事実を知ってしまったのだ。

冷たい風に吹かれながら、僕はなんて言うべきか言葉を失った。
頭が一瞬真っ白になった。こんなことがあっていいのだろうか。
様々な疑念や困惑に一気に襲われた。
自我を見失いかけたところを必死に平常心が支えようとする。
真っ白になった頭がすぐさま軌道修正しようとフル回転する。
これを知ったところでなんだと言うんだ。普通にしよう、何もなく今までどおりに。
そう思う反面、手には嫌にべたつく緊張した時に流れるあの妙な汗が流れた。
目の奥も気のせいか痛い。
顔も引きつっているんじゃないかと心配になる。
冷ややかな風のせいでいっそう気温も心までも寒くなった気がする。
そんな僕の前に烈火が無邪気で、でもどこか意地悪めいた猫のような笑いでこちらを見る。


「なんか、呼んだ−ぁ?斗ちゃん。それと、さっきは取り乱して
/ ・・・・ごめんね。」

取り乱しているかどうか気にしているのは僕のほうだ。
先程までなら、烈火の行動の理由を尋ねていたところだがそれどころではない。
僕は声が裏返らないように細心の注意を払いながら口を開く。
嘘は苦手だけど、でも仕方ない。
この場はそうしているのが正しいのだ、と自分に言い聞かせる。


「・・・驚いたけど、大丈夫だよ。」

大丈夫だ。声は普通、いつも通りだった。妙に震えたりつっかえたりしなかった。
心の中で安堵した。


「へへ、良かった−ぁ。あと、烈火ちゃんもうこの事件解けちゃったんだ−ぁ。」

「へぇ、それはすごいな。」

「でしょでしょ−ぉ。でもマジで今回は危険だから一回戻ろうねっ。
                                           あと−ぉ、さっきから斗ちゃん変だよぉ。」

思いのほか早い段階で疑われた。
ばれた事に内心安堵すると共に窮地に追い込まれた気分になった。
そんな僕に烈火は猫科の笑みをしながら甘い声で止めを刺した。



「なに−ぃ?烈火ちゃんの片耳が−ぁ
/・・・・・・・なかったとか?」


心臓が止まるかと思った。



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  • 2011.04.10 Sunday
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