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  • 2011.04.10 Sunday
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裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 34

らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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34-≪ 雪 時 計 ≫




町は一面薄暗い銀世界だった。
空高くから羽の様に雪が舞い落ちる。
大粒ではなく、ふわふわとした雪は町を覆うように降り注いだ。
雪のカーテンに覆われて町は一層肌寒い。
それに対応するようにマフラー、厚着のダッフルコートを着こんで少年は歩いた。
少年が歩くたびにシャリシャリと氷を踏みつける音が鳴る。
外は真っ暗で人っ子一人居なかった。
暗闇に反比例するように街灯の下は雪に反射して真っ白だった。
光の間を縫うように少年は音を響かせて歩く。


・・・今度は一緒に居る、守るっていったくせに。
などと兄との会話を思い出しながら、無言で歩を進めた。
結局のところ、人を信じるべきではなかったのかもしれない。
そんな疑念をあっさりと受け入れて、真っ白な息を口から吐き出す。
伊予本 鈴、兄と一緒にいた時間はどれだけあっただろうか。
そんなことを思って暗算をしようとしたが、すぐにやめた。
めんどくさい。すでに自分の性格と化しているその言葉がぴったりとはまった。
少年は考える事を放置して、ぼんやりと光の下で立ち尽くした。


「こんにちは。失敬、こんばんは。≪雪上の冰点人形≫、または伊予本 京くん。」
暗闇の中、男の声が聞こえた。名を呼ばれた少年、
冰点は返事をせず自身の肩に積もった雪を払った。
男はそのまま足音ともに近づいていき、街灯の光のサークルへ足を踏み入れた。
背丈は高く、男としては長めの真っ黒な髪で、柔和そうな顔立ちをしていた。
全体的に落ち着いた系統の服の中に首元の真っ赤なマフラーだけが浮き出るように主張されていた。
「人違い、ってことはないようね。そんな運命で偶然で必然はないだろうね。」
男は楽しそうに笑って、皮革の手袋に包まれた自身の手を前に出した。
冰点はその手を握らず、自身についた雪を払うように髪に手を伸ばした。
男は暫く、眉を八の字にして見守ったが、やがて諦めたように手を戻した。
「Notハローっしょ。なんか用あるわけ?」
短めに言葉を発したが、依然として興味がないらしく冰点は男を見なかった。
「あるね。私は学文路 其【カムロ トキ】、≪不確かなる二重奏≫の兄だ。」
男は、其は反応を伺うように冰点を見たが、冰点はどうでもよさそうな目で見ただけだった。
其は仕方ないと諦め交じりの真っ白い息を吐き出した。

「そんで?」
「味気ないね。面白い話がたくさんあるっていうのに。嘘も誠もひっくるめて面白い話。」
冰点は其の顔を見飽きたように、視線を下に落とした。足が冷えて痛い。
逆に暑ささえ感じるよだった。
「例えば、君に付き纏う葉月、恵那月 葉は病弱な少年で今現在もこちらの世界にいたり。」
冰点は一瞬、眉をあげたが瞬時にいつもの無表情に戻った。
「例えば、彼の姉、恵那月 宵は死んでいたり。雪上と樹は私と同級生だったり。」
男は淡々と話を続ける。自身の肩に積もった真っ白い結晶を気にせず話す。
「例えば、内気で有名な樹こと奥津野 苑は実は暴力団のトップだったり。」
冰点は耐え切れなくなったように小さく笑い出す。隠すように手で口元を触ったが、笑っていた。
「例えば、玖珂沢 炎はおっさんではなく気さくな居酒屋の青年だったりね。
まぁ信じなくてもいいけど。」
其が話を続けるうちに、冰点は無表情を崩していった。しまいには完全に声を上げて笑った。
そのまま何分か笑い続けた後、もとの表情に戻すように湯気のように息を吐いてこう言った。
「Notリアルっしょ。ありえねー。」
其はその言葉を見透かしたように、次の言葉を即座に紡いだ。
「どれも本当で、どれも嘘だ。種を明かしたらつまらないだろう。信じて信じるな。」
「・・・・・んー。ん、宵姉は死んだか。」
冰点は其の言葉を無視したようにそう言った。あるいは続けるようにそういった。
其は少し困ったように、白い息を吐き出した。
「それに関しては教えてあげるよ。≪火種の宵闇人形≫は死んでない、恵那月 宵は死んだ。」
「・・・ふーん。」
「まぁ、どうせ君か葉月君にしか伝えられない話だし、もう少し話すよ。」
「Notサンキュー、めんどい。」
冰点の拒絶を聞かずに其は話を続ける。
「≪白熱の夕風人形≫は祁答院 優【ケドウイン ユウ】と言って、
≪空輪の光風人形≫は小波津 光【コハツ ヒカリ】」
冰点は厭きたらしく其に蹴りをいれようとするが、するりとかわされた。
其はかわしたことにより自身に積もった雪がひらひらと落ちる。

「不機嫌だね。寒いからかい?それとも私が何でも知ってるからかい?」
「Notトークっしょ。」
冰点は容赦なく二発目を入れた。其は一歩も動かずその足蹴りを喰らって笑っていた。
わざとらしく蹴りを受け止められて、明らか不服そうな顔をしていた。
「君はさぁ、伊予本 鈴が自分の兄だと知って、認識して、家族になってどう?」
「うっさい。」
冰点は受け止められた足を戻し、素早く雪のカーテンを裂くようにもう一度蹴りをいれた。
弧を描いた冰点の片足は、其の手に受け止められた。
「小波津 光はどうだっただろうね?ニセの記憶で兄を殺し、現実には誰もいない彼女は。」
バランスを崩した冰点は片足で支えるには限界がきてすべる様に雪に倒れた。
顔面に雪が降り積もる。見下すように立った其は冰点の残りの足も下へと突き落とした。


「尚且つ学文路 之、私の妹のマリオネットでもない。本当に行き先がない。」
「うるさい。」
冰点は何も考えず、そう言った。いや、何か考えてたのかもしれない。
けれど説明できるほどの明確なものではなく、ただ面倒で五月蝿かった。
という非常な回答しか浮かばなかった。
「恵那月 宵も現代の居場所がないが、訳が違う。彼女はしっかりと人間として生きてた証がある。」
「Notトークっしょ。なんの、さっさと言えば・・・あぁ、めんどい。いいや、話せば。」
冰点の態度が気に入らなかったのか、其は地面に倒れている冰点のわき腹を軽く蹴り転がした。
雪が服に浸透してきて冷たかったのか髪の間から見える顔は不愉快そうだった。
「君は可愛くないね。今度は頭を蹴り上げちゃうよ?君は罪悪感を感じないたちかい?」
「Notユーっしょ。その言葉リターン。」
「君だって知ってるだろう。小波津 光の兄は伊予本 鈴に似ているんだ。似せたわけではない。」
横向きに倒れていた冰点は、手で上半身を持ち上げるようにして起き上げた。
全身に雪が纏わり付いて白い合羽を着ているようだった。


「だから、なに?」
「何もないよ。別に兄を奪った君に悲しんでほしいわけじゃない。そうじゃなくて・・・。」
「だから、なに?なんなわけ?小波津 光はどうしたいわけ。」
其は、いや光は驚いて目を見開いた。それと同時に風が吹いた。二人の頬に冷たい風が通る。
冰点はいい加減起き上がったらしく、風の中服を全身は叩く。目線を戻すと其はいなくなっていた。
街灯の光の円形に自身の影しか映ってないことに気が付き、冰点は息を吐いた。

「なんで分かったの?樹ちゃんの時もそうだけど、なんで?」
「Notライトっしょ。なんとなく。っつーか、あぁ、めんどい・・・。」
「学文路 其は確かに此処にいる。そして今、おいらは其殿の記憶をリンクしている。完全に同一なのに・・・。」
暗闇の中から少女の声が聞こえる。冰点は髪の毛の雪を払っていた。
「やたらこの話題だけ長い。あと現実に存在しないのに、名前がこっちのあるの・・・・あぁ、そう。」
説明するのが本気でめんどくさいらしく矛盾点だけ指摘した。暗闇の中から小さな少女が現れた。
少女は、そうかっと小さく頷いた。銀の色の世界に小さく声が響いた。
「なんか、すごいかっこ悪い。情けないし、ずるいし。ごめん。あぁ・・・ごめん。」
かみ締めるように少女は謝罪した。自己嫌悪に眩暈がしたように、少女は真っ白な地面を見た。
先程の其とは違い真っ赤なマフラーに顔の半分がすっぽりと入りそうだった。
「Notクライっしょ。それに、どこまで・・・。」
どこまで其の意思か、光の意思かは分からないし。
言いかけてめんどくさくなったのか、
らしくもないことで気恥ずかしくなったのか、言葉を続けなかった。
二人の間に小さな静寂がおきる。空からはもう、羽のような雪は降ってこなかった。

「・・・あのね、私は、どうしたいかって言うとね。わがままで勝手だけど・・・。」
「・・・・。」
「ギニョールに戻りたい。」
それだけ言うと少女は何故か目から溢れた小さな雫だけ残して消えていった。
涙は白い世界の中に染み入るように消えていった。
Okっしょっと人知らず少年は呟いて、彼もまた消えていった。



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