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  • 2011.04.10 Sunday
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裏オリジナル小説 「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 30

 


30-≪ レ マ と ≫

 

血まみれの少女が倒れていた。
長く艶やかな髪はマゼンタ色に染まり、彼女を囲むように、なだらかに地に落ちていた。
全身から血が流れているわけではないらしく、顔の辺りから湖のように広がっていた。
血の色からして怪我をしてたからまだ少ししか経っていないのだろう。
鮮やかな赤色はぬるぬると面積を広めている。
ハンカチでは到底足らないだろう。このまま見過ごしていたら、あの男がなんというか。
選択肢など元よりないのだろう。困ったように肩をすくめて、血まみれの少女を救い上げた。

少女の怪我の様子を探る為、血でべとべとになった髪を掻き分けた。
医師ではないので、よく分からないが右目はおそらく見えないだろう。
素人から見てもかなり危険な状態だと判断できるほど異常な目だった。
色素を失い、生気がなく血が噴水のように湧き出し続ける。
正直、吐き気がするほど気持ち悪くおぞましかった。
しかし、そんなことも言ってられないので吐き気を抑えながら包帯を巻いた。
予め濡れたタオルで全身を拭き、服も着替えさせた後だが包帯はあっという間に赤色に染まる。
思いのほか手間のかかる作業で、もう一度目の周りの拭き包帯を巻き直した。
そんなことを繰り返したせいか自分自身も疲労がかなり溜まった。
気が付けば、少女を寝かしたベッドのそばにある椅子で寝ていた。

再度目を覚ますと全身に板がくっ付いたように硬い。
ん〜っと一伸びして、首をゆっくりと回す。ぼきぼきと嫌な音がしたが気にせず逆も回した。
時刻は分からないが、部屋に太陽の光が入り込む。
差し込んだ光の丈が低い事から、まだ朝だろ。
少女も目を覚ましたらしく、布団の中から小さな声が聞こえた。
立ち上がって様子を見に行こうかと悩んでいると少女は自身で起き上がった。
起き上がったといっても、上半身だけひょっこりと姿を現した。
きょろきょろと不安そうに周りを見渡した後、こちらを見た。
「おはよう。と言うべきかな。僕も時間わかんないんだよねー。」
「ありがとう、ございます。そして、ありがと、ございます。」
「いえいえ、どういたしまして。君は・・・」
少女、少女と称していたが僕には心当たりがあった。私は間をわざとらしく開けてその名を口にした。

「君が、レマ?」
そして、おそらく少女も私の名に、いや僕の存在そのものに心当たりがあるだろう。
レマは小さく頷いた。そして今度は、彼女が確かめるべく私の名を口にした。
「あなたは、不知火?」
「きゃはは、そうだねー。採点はむずかしいけど、そういう事になっちゃうかな〜。」

              我が名は不知火。
            人知らず燃え、いつの間にやら消え行く灯火。

だから、私の名を呼ばれるのは彼女が最初だった。
『からくり人形』が呼んだ、僕以外では。
「火影、陰火と、呼んだほうが、いいの?」
レマは僕の、僕たちの名をあげた。私はいたずらっぽく舌をだして肩をすくめた。
「ん〜。ややこしいのはめんどいからなぁ〜。いいよ、不知火で。ん。そっちの方がいいや。」
「分かった、ありがとう、不知火。」
再度、礼を述べたレマ。顔色は寝たせいか以前よりは良くなったが、それでもまだ青い。
-・・・・暴走人形と不完全人形。いや、私も不完全人形か。私が、と言うより、僕が、か。
まったくめんどくさい人形だ。私も彼女も僕も。

「・・・不知火、あなたは、違う、の?」
「う〜ん、そうだね。違うな〜、私は彼女につくられてない。どっちかっていうとさ〜。」
そこまで答えて、ふと話の筋が合ってるのか不安になった。
先程考えていたことの延長上で答えてしまった。
レマの方をみると話の続きをまっているように、こちらを見た。
目をあわすと不思議そうに首をちょこんと傾けた。
駄目だ、きっと分かってない。分かっていないということは話の筋はあっているのだろう。
私は困ったように肩をすくめて、クスクスと笑った。

「なに、?、どうした、の?、えっ、あの。」
「別に〜。なんでもないよ。きゃはは、超うける〜。あぁ、なんだっけ?」
「私と、貴方の、違い、だよぉ。もう、駄目じゃない。」
「はいはい。ごめんね〜。・・・つまり、僕は羽衣石 斗、私は秤になれなかった事。」
「悲しい?」
「「僕は、僕たちは悲しくないよ。」」
「不知火は、?」
私は問いに困った。レマもまた困ったように眉間にしわを寄せた。
正直、右目に包帯をしたレマはあの男を連想させられ、なお困る。

いや違う。私は私の存在意義がなく答えられなかった。
誰からも名を呼ばれず、幕開けのために用意された駒。
誰からも認められない、僕らも知らない。それが不知火。知らないで消えていく、灯火。

「悲しいかった、かな。」
「・・・そう、だよ、ね。ごめん、ね。」
「今は悲しくないよ〜。空羽が貴方を救い、貴方が秤を救ったように、私は貴方を救えたから。」
「・・・良かった、ありがとう、。」

彼女は嬉しそうに笑ったが、やがてその表情は驚きに変わった。
それに気にせず私はひとりでに話し始める。
「結局さぁ。私は秤や斗みたいに、ちゃんと向こうとこちらを行き来できなかったわけよ〜。」
「・・・不、知火?」
「んでもってさ〜、あんた達みたいにしっかりと役目がなかったし〜。・・・・だから、ね。」
「・・・い、や、だ。い、や、なの・・・!」
純粋な瞳が私を捉える。わざとらしく笑った私が写る。
「そういうの、いやだな。うけない〜し、面白くないよ。」
「い、や!待って、!どう、して!」
「対価、足りないんだって。目だけじゃあ。それにさっき言ったじゃん。」
彼女の左目に透明な雫が滴る。私は、困ったよう肩をすくめた。

「私は貴方を救えたから、今は悲しくないから。・・・・だから、悲しまないで。」

 



 

-lost days & happy days and doll lateral 
                                                      [[Good bye "mysterious lights on the sea"]]-



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