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  • 2011.04.10 Sunday
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裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 43

らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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43-≪ 黄 昏 時 ≫


 

「学文路って結局、サヴァン症候群だったんじゃないかな?」
「はぁ。サヴァン?なにそれ、新しい必殺技かなんか?強いの?MPはいくつなくなるんだ。」
「黙れゲーム脳。あぁ・・・でも、確かにそんな感じはするよね。」
お昼ごはんをそれぞれがつまみながら会話する。
学校のお昼休みとあって教室は雑音であふれかえっている。
あちこちで話し声や携帯電話の音ゲームの音など騒がしいけど、楽しいノイズだ。
僕は購買で買えなくて自販機で諦めて買ったお惣菜パンに口をつける。


「んで、そのピアノの練習曲みたいなヨーロッパの高いお菓子みたいなのはなに?」
などと安芸村が茶化すように聞いてくる。いや、本気で知らないかもしれない。
しかし食事を中断してまで話すのは面倒だったので横の彩り豊かな弁当をつまんでいる伊予本に目線を送る。
ちょっとだけしかめっ面になったが、仕方なさそうに笑った。愛想のいいヤツだ。


「フランス語で「savant」は賢人って意味があってね。知的障害や自閉性障害のある者のうち、
ごく特定の分野に限って、常人には及びもつかない能力を発揮する者の症状、まぁいわゆる天才の類だね。」
「伊予ペディア。あっ、イヨエもんか。どっちにしろ頑張ってくれたところ悪いが分からん。」
安芸村の発言をあっさりスルーして伊予本は僕の方を一回見た後、箸を持ち直した。
おそらくこれ以上の説明は僕がしろって意味なのだろう。
う〜ん、でもめんどくさいし、安芸村は興味なさ気だしな。


「取りあえず、学文路が天才なのは分かるだろ?でも、なんか言葉に違和感がなかった?」
「ん?あぁ、確かに。大声で歌ってるのに歌詞間違えてる感じだよな。」
「というか言葉の概念を根本から無視してる感じだよね。あぁ、羽衣石が言いたいのはそういうことか。」
物分りのいい友人で助かる。
これが双子や空羽だったら全て聞く前に飽きて別の話題に変わっていただろう。
そんな理解力のある友人の弁当の具を一つ盗み食いしたら怪訝そうな顔をされた。
その顔一つで許されるのであれば安い方だ。
「なんだよ、イヨエもん。っつーか、お前がのび太だろ。眼鏡なんだから。」
「学力だと君だよ、安芸村。つまり、自閉症だからコミニュケーション能力に欠けてるってことだろ。」
「そうそう。あとそっちもほしい。」
僕は許可がおりるより先に伊予本の弁当を食べる。ん、おいしい。
時雨といい勝負だな。今度、料理大会とかやったら面白そう。などとどうでもいい事を思った。
・・・でも、一応同意は得られたか。正直、僕は先程の話題がずっと気になっていた。
彼女の言動は矛盾が多い。だからこそ、人形をつくったのだろうけど。



「触れてほしくない話題だったらごめんな。羽衣石って兄弟が居たんだね。」
「一人っ子は俺だけか。ん?いや、初耳だぞ、伊予本。」
「いや、居るとも居ないとも言えないんだよなぁ・・・。」
僕の曖昧な返事に伊予本が小さく謝った。別に気にしなくていいのに。
ふっとよく喋る安芸村の方を見たら、もう弁当が空になっていた。


「向こうには居るよ。今頃は学文路 之とレベッカと遊んでいるんじゃないかな?
でも、そんなんだから実質一人っ子だよ。安芸村。」
「はぁ?いやいや、もうそれじゃあ兄弟じゃねぇか。」
と安芸村は感想の様に言葉を零した。なんだか、それに対して嬉しい気分にもなる。
「羽衣石、ニヨニヨすんな。なんだ?昨日のアニメでも思い出したのか?」
「安芸村と一緒にしないでよ。」
と僕がわざとらしく笑うと安芸村がオタクなめるなっと言って親指を突き出した。


「それに羽衣石、僕も弟の京、冰点はあれ以来こちらに来ないけど兄弟だと思ってるよ。」
「そこに光ちゃんもミックスしてやれ。」
「なんで?」
「うわぁー来たよ。鈍感☆ボーイ、いい加減解決しろよ。」
「まぁ羽衣石の話に戻すと、お前は一番行きやすい位置にいるんだから、な。」


伊予本の言うとおり僕が一番あの世界に行きやすいのだ。
なにせ、繋がるワープホールはあの紙なのだから。

 

 



 

いつだって皆に会える。



 

 


物語の様に本を閉じるような環境じゃない事が僕の胸を温めた。



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 42(最終話)




らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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42-≪ E N D ≫


 

「限界なんだよ、知っているだろ?理解しているだろ?感じているだろ?」


それは始まりの声にして、終わりの鐘。そして、電話の向こう側で聞いたセリフだった。
彼女は繰り返し言うのだ。自分の限界は、世界の終端は、有限であると示す為。



「≪からくり≫は解けた。君が羽衣石 斗ではないことも、彼が私の兄であることも。」


平坦な声だった。回りくどくもない彼女らしくもない、ただ普通の言葉だった。
読み終わった本の結論をいうように、淡々とした口調だった。
それは実に彼女らしくなかった。歪でもなんでもない、ありふれた少女は僕の腕の中の友人を見る。


「すべては種子だった、花は可憐な人形の血を吸って咲いたのだ。全ての準備が整った。」


彼女はゆっくりとした足取りでこちらへ向かった。


「すべては種子だった!君が、世界を終わらせるのを待ち続けていたのだよ!!」


彼女は訴えるように僕に言い放った。心の奥底を奮い立たせるような声だった。
僕はゆっくりと抱きしめていたレマを床に置き立ち上がった。
求められている何かを受け取る為に。体中血まみれになりながら、彼女を見た。


             君よ
「さぁ!≪九尾狐≫、終わらせるんだ。終焉で終演で周縁を、、、迎えてくれ。」
「何を言っているんだ・・・っ!」


彼女の言葉に反論をしたのは        僕ではない。
他ならぬ暁であった。切羽詰ったように発せられた言葉に、怒りの表情を纏っていた。
そんな暁とは対照的に彼女は冷ややかな目で見向きもせず、僕だけを見ていた。
暁は唇をかみ締めた。それもそうだ。
誰よりも終焉を望んでいたはずの彼が、世界を終わらせる鍵となる僕を殺そうとしたのだから。


「君は勘違いしている。計算違い、思い違い!違う違う、間違っているのさっ。
天一神 桜に”碧落ギニョール”、学文路 其に”からくり人形”。
 


                  秤                                                            
そして、≪羽衣石 斗≫は、この世界だ。」



わざとらしく彼女は笑った。その笑みは皮肉にも兄の暁を思わせるような笑いだった。
僕は初めて知らされる事実に驚愕した。・・・いや、実をいうと知っていたのかもしれない。
記憶の忘却。そんなもの、一番初めから起こっていたものだ。
自分が死んでいるのでさえ忘れている僕だ。
もうこの際、覚えていようがいまいが、たいして関係ないのかもしれない。

「聞いていない。そんな事、全然まったく聞いていないっ!!
急にそんなこと言われてどうしろというんだ!!」
「なにもしなくていい。君がする必要は、義務は、権利は、・・・ 何も存在しない。」


暁の悲痛な叫びが彼女を責める。妹を、世界を救おうとした彼が、結果的に見捨てられたのだ。
どうして兄である自分に言ってくれなかったのだ、とそんな気分でいっぱいなのだろう。
しかし、僕側からしても、
どうして暁はあの世界が自分の妹が作った世界である、と公言しなかったのだろう。
・・・それは、もしかしたら向こう側の”僕”に知られたくなかったのかもしれない。
なるべくリスクを伴わない方法で世界を、終わらせたかったのかもしれない。
だから、わざわざ”からくり”をつくった。噂という名の、からくりを。
世界がそれを解き明かす事で終わりを迎えられるように。





     星らを描くは隔離人形                            キミ                            秤
「≪  レマの死で星は導く   ≫!さぁ、あとは≪認識する者≫の番だ!≪羽衣石 斗≫!!」




彼女が叫ぶと同時に携帯が鳴った。いつから持っていたのかは分からない。
全員の目がこちらに向く。視線を浴びながら僕は携帯電話を開く。


・・・驚いた。
それは自分からの電話だった。いや、的確には僕の弟からの電話だった。
おそるおそる、通話ボタンを押した。




 

「からくり人形は星を描く。九尾狐に会いし者、我が紙の前にRe;Startし世界を繋げ。」

        

 

 


 



                -星屑は踊り赤い部屋に僕の声が響いた。

 







 


                                                               − E N D −



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 41


らヲ才苗くノヽカゝ<‘
}人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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41- ≪ 赤 い 月 ≫

 



 


「・・・許さない。絶対に、な。」


僕の心情を読み取ったような声は後ろから発せられた。
振り向かなくても分かる。レマの血の湖の中に包帯が沈んでいた。
おそらく彼のものだろう。 真っ白であるはずの包帯は彼女の血によって染まっていた。



「相変わらずだ。相変わらず私に反抗する。だから嫌いだったんだよ。
まったくもって計算外。レマと接触してたのも、君が此処にいるのも。」



今さっき使った拳銃をくるくると回しながら答えられた、
その声は聞き覚えのあるものだった。

いや、忘れるはずもない。
思い返せば、双子の不完全人形の話題の時もヤツの名が挙がった。
最初に僕に妙な肩書きを決めたのもヤツだった。
ギニョールの話題の時に必ずといいほど絡んでた。
なにより後ろにいる空羽と喧嘩するのはヤツぐらいだろう・・・・!









 


「・・・暁ッ。」
「学文路 其と呼んでほしいな。亡霊くん、初めまして、さようなら。」




いつもの伊達眼鏡は外されており、影のある瞳がこちらを見る。
どんな表情をしたって彼がレマを殺したことには変わりない。
その上、僕に別れの言葉を向けてきた。つまりは、そういうことだろう。
彼は無害ではなくなった。少なくとも現段階の”僕”にとっては。
今更、信用なんてする気はさらさらないが、確認の意を込めて僕は彼に問う。


「それで?お前は僕を殺すのか。」
「あぁ、そうだ。殺す。理由は終演の為さ。生きてない人間が生きてたら困るんでね。
安心してよ、弟さんには手を出さない。これは誓ってもいい。」


羽衣石 斗の中の彼の姿が脳内にちらりとよぎった。
その雰囲気は、記憶してたものと180度違った。
彼は暁とはまるで違う。そう僕が僕に語りかけていた。
”学文路 其”たしかに、そう表現するのが正しいのであろう。まさしく裏の顔だ。
それでも、目の前の彼が暁であることにはなんら変わりない。
誰の罪でもない、暁の罪なのだ。
それを忘れない為にも暁と称した方がよいのであろう。
僕を殺そうとしているのは・・・暁だ。

一方では、僕の腕の中のレマが次第に体温がなくなり、急速に冷たくなっている。
気のせいか、肉も硬くなっていき物体へと変化していく。
その様子は悲しく残酷なものだった。


「・・・あぁ、確かに存在しないものが存在する世界はおかしいさ。
                                           でもな、僕らは此処でしか生きられない。」


怒りを抑えたつもりでも声は怒気を纏っていた。
今すぐにでも暁を殴り飛ばしたい気分だった。
レマが死んだことのショックとそれが目の前の暁にやられたことへの恨みが僕を支配する。
本当に、目の前の少女を殺す理由と自分が殺される理由が分からない。も
ちろん、これから僕が殺される事もだ。
終焉だろうか、なんだろうか知らない。
そんな理由の為に、死ななきゃいけないのは真っ平ごめんだ。

あぁ、そうだ、レマ。今なら確証もって言える。僕は羽衣石 斗じゃない。君は正しかった。



「ただの感情論だ。此処でしか生きられないのは所詮は人形、道具にすぎない。」
「価値も眼鏡もないヤツは地獄で天国の麗しの人形に百億回謝罪でもするのだな。」
「道具に忠誠を誓うなど馬鹿げているね。猫の趣味は理解しがたいよ、まったくもって。」
「残念な事に、くだらん狂言をする眼鏡以下な存在に通用する言語は持ち合わせてない。」
「ふふ、奇遇だね。
  私も腐った頭の猫語を喋るような我輩さんとは頭脳が違いすぎて会話にならない。」


この状況下でも何処か懐かしさを感じている自分はなんなのだろう。
弟の記憶と完全にリンクしている、否、していたのだろ。
その役目は後になって分かったがレマがしていたそうだ。
よってその後の”からくり”での記憶は僕にはない。
空羽は僕を守るように暁の前に躍り出た。
暁の発言が正しいのなら次に殺されるのは僕だ。


「ねぇ、君だって聞いただろう?君は生きてないんだ。いつ死んでも同じだろ?
  だから、今   
                                  死になおせ。」

「嫌だね。生きられるのであれば、・・・生きていたい。」


暁の発言に僕は即答だった。迷いなんてない。迷いなんて必要なかった。
空羽の背中で表情は分からないが、
きっとあの芝居かかった笑みを浮かべているに違いない。



「そう、残念だね。その願いは果たされないよ。」



そう言って、暁は動きだした、のだろう。実際は空羽の動きを見た後で確認した事実だ。


しかし,戦争にはならなかった。否、なれなかったのだろう。

誰もが従わなければいけない王者にして絶対的なまでのルール。
忘れるはずもない物語にして、≪終わっていた話≫。





 

----そう、彼女だ。






裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 40


らヲ才苗くノヽカゝ<‘
}人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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40−≪ 掟 破 リ ≫

目の前には少女が居た。少女の名はレマ、であるはずだった。
先程のこともあり僕は彼女が『レマ』であるか自信を持って宣言は出来ない。
変わって点は一つだけあったが、それを除けばか細い少女はあの時と変わらない姿だった。
そう、彼女は目に傷をおったらしく包帯をしていた。その様子はどことなく彼を思わせた。


「君は僕を知っているっと答えたね。羽衣石 斗を知ってると。」


レマは答えない、小さく俯いただけだった。
それでも、僕はレマに問いかけるように言葉を続ける。


「じゃあ秤っていうのはなに?どうして、そんな事をするの?」


レマは、はっとなったように顔をあげた。
それから何か言おうと口をあけたのだが、何も決まらないようにパクパクと閉じたりあけたりした。
包帯まみれの手で唇をなぞるようなしぐさをして、困惑した表情を浮かべた。
この一連の動作は、まるで何か言おうとするが口止めされているみたいだった。

「言えないの?」

僕の問いかけにレマは決意を決めたように、まっすぐした瞳でこちらを見た。


「私が、私、で、なくなる、かもしれ、ない。其、や、心が、言う、なってッ!で、も」


レマは途切れ途切れに言葉をつむいだ。いつもと違い切羽詰ってるのか目には涙を浮かべている。
僕は直感的に、レマがその口止めされている事を言うと取り替えしのつかないことになるような気がした。
レマを止めようという善意のある回答と口封じをされる程までの事実を知りたいという好奇心が僕の中で渦巻く。
天秤の傾きは確認するまでもなく前者だった。
前回の過ちもあり好奇心だけで行動するのは浅ましい。

「いいよ、レマ。無理をしなくて。」
「いい、言う。言え、る。言わせて、お願い。」


レマは頼むようにそう言った。僕は渋々頷いてレマの話を聞くことにした。
本当に取り返しのつかない事になるのなら口をすぐに塞げばいい。
それだけだとその時はそう思っていた。


「・・・、あなたは、死んでいるの、秤。」


僕はレマの宣言になにも言えなかった。
馬鹿げているだのどうしてだの全ての言葉を投げ捨てて、なにも言わなかった。
それは絶対的な否定からもあったが、妙に納得してしまっている自分もいたからだろう。


「秤は、マスター、学文路 之の、実験材料となった、名もない、少年。羽衣石 斗の、兄。」
「・・・兄?僕が・・・?」


レマの言ってる意味が分からなかった。
分かるはずがないぐらい思い当たる節がない。
一体誰の話をしているのだろう。そんな気でもする。僕が死んでいる?羽衣石 斗の兄?
・・・まったくもって信じられないし、実感もない。いや、実感はあるものかもしれない。
実感がある自分や納得する自分に僕自身疑問を抱いている。
けれど、どう考えても回答はでない。

「そう。少年は、名前をつける前に、死んでしまった、の。だから、貴方は、弟の名で、呼ばれた。」


喋るのがつらくなってきたのか、喉を押さえてしかめっ面になるレマ。
包帯の巻いた片目は血の色に染まる。そんな少女を僕は心配とそれとは真逆の冷静な目でみた。
レマに会った時からそうだった。これは夢の世界なんだと、それでも信じて生きてみようと。
これを信じたら僕はどうなるんだろう、信じてたものが全てなくなる。一体全体なにを信じればいい。
信じるものがなくても生きていける事を知っていても、自我を失うのはやはり怖かったのである。


「学文路 之は、あなたを、世界を認識する、2年前に、知った。
                                                          わずか3歳の、少女が、あなたを、助けた。」

「そんな非常識な話・・・。」

「ある、の。あなたは、ずっと、弟を、待つため眠っていた。馬となり、鹿となり、猫、鷹、蛇となり、
それこそ、狐、の様に、化けて、弟に、会いにいった、の。あなたは、羽衣石 斗、の・・・」



言いかけたレマの言葉は続かなかった。否、続けられなかった。



銃音が虚しく部屋に響く。

火薬の独特な匂いと白い煙が少女の体からたちこげる。
レマはもう一度話そうと口を開いたが、溢れ出す血で喋る事はおろか閉じる事さえも出来ない状態となった。
どこを撃たれたのかは分からないが一番醜い死に方になっていた。
僕はレマに駆け寄った。悲しい程無力な腕の中に少女の死骸が息をする。
死骸はもちろん息をしないが、この状態は息をしていると表現すべきだと僕は思った。
生ぬるい血や白目をむき一回転した瞳も口から溢れ出した臓器もそれらに絡まった舌も息をしていた。
生気のないハズの体はまだどこか動いているように思わせた。そんな夢話、決してないのに。
彼女の言った事を確かめる手段はない。
それでも、こんな姿になるのを見越してまで言った言葉に偽りなどないのだろう。
哀れな人形の前に亡霊の僕は無機質な涙を落とした。
そして彼女の言葉を彼女に語りかけるように続けた。

「羽衣石 斗の兄だから、ね。」


言葉にすると、とても頼りなく悲しかった。と、同時に改めて少女に対する感情が芽生える。
僕が殺したようなものだ。どうしてこんな可愛いらしい少女が死ななきゃならなかったのだろう。
そもそも誰が殺したんだ。
いや・・・心当たりはある。しかし、僕はそいつを見たら赦せる気がしない。
きっと憎悪の念しか抱けない。
レマと話したいことももったあったし、遊びたいことも、謝りたい事もあった。
全てのレマの未来を奪った人間をきっと僕は赦せないだろう。
自分のせいで死んだ事実をすりかえたいんじゃない。
確かに僕も悪い。
けれど・・・けれど、引き金をひいたのはヤツだ。僕は静かに腕の中の少女から目線を外した。

・・・・あぁ、見るんじゃなかった。



そう後悔した時にはなにもかもが遅すぎたのだ。




裏オリジナル小説 「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 39


 
らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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39-≪ 交 差 点 ≫



そこは教会のようだった。ステンドグラスに光が差し込み木造の長椅子が規則正しく並んでいる。
真っ白なパイプオルガンは光を浴びいきいきと背筋をはって演奏者を待っていた。
主祭壇には誰もおらず、婉曲状のガラス窓から光を受けて輝くだけだった。
天井はどこまでも突き抜けて高く、柱は堂々としていながらも何所か繊細なデザインだ。
空気そのものを浄化させる神秘的な雰囲気が教会の隅から隅まで広がっていた。



                                             何を奪おう
「謝罪?感謝?祈祷?一体キミは≪何をしよう≫としているんだい?」

誰も居ないはずの主祭壇にいつの間にか長い白衣をはためかせて一人の女性が座っていた。
声の先を辿ると一人の幼い少女に行き着いた。年は10歳前後だろう、幼さの抜けない顔だった。

「・・・あなたは誰?」

   覚えている                                          愛したくて      助けてほしい     神
「≪知っている≫くせに、嫌なガキだ。キミが≪壊したくて≫、≪砕きたくて≫、≪僕≫だよ。」

女性が言葉を発した途端、オルガンが独りでに動き始めて聞くに堪えないでたらめな音を奏でる。
誰も居ないはずなのに鍵盤はでこぼこの位置をかえてちぐはぐなメロディーを奏で続ける。

「・・・学文路 之。」
              人形          祈っている          愛したい        何もない
「ねぇ、≪キミ≫。僕を≪憎んでいる≫?≪殺したい≫?≪壊したい≫?」

少女は動じない。一方学文路は祭壇の上で片足を抱え、もう一方の足をぶらつかせている。
それでも暇なのか学文路は自身の短く整った髪を弄んだ。少女はただそんな学文路を見た。

「・・・そうだと答えたらなんになるんですか?そうじゃないと答えれば・・・。」

    勝手にすればいい
「≪何にもならない≫よ。」

少女の言葉をすべて聞く前に学文路は弓矢の様に言葉を突き刺した。
少女の長い髪が揺れる。大きな目には不安の色がにじみ出た。
「・・・じゃあ、なんで此処にいて、私に声をかけるの?」
「さぁ、知らない。感じない。分からない。しいて言えばもう、覚醒の時だったんじゃない。」

飾り気のない言葉にオルガンの音が止む。教会は再び静寂を纏う。
しかしそれが気に入らないように、学文路は指先で座っている祭壇を白衣の上から叩く。
トントンとリズミカルで頼りない音が教会に小波のように響く。

「・・・なにそれ。わけわかんない。私を殺してまで、それなの。」

     居なかった                                      殺害した          怨んで
「≪死んでいた≫じゃないか、既に。僕が≪生かした≫ことに≪感謝して≫ほしい気分だよ。」

学文路の話に少女は不満そうに頬を膨らませた。
更に少女は逆光を浴びて見下す学文路にいらついたのか少しだけ移動した。
学文路は気難しい少女を鼻で笑いながら、その場を動かず指先だけリズムを刻んだ。

「・・・生きていることに感謝なんかしない。こんな状態でどうしろって言うのよ。」

投げ捨てるように少女はそう言って、彼女のから斜め位置に当たる席に腰をかけた。
スカートの裾が気に入らなかったのか再度少女は立ち上がり、整えながら着席した。
その様子に学文路は仕方なさそうに指の動きを止めて、長い息を吐いた。


 
                              雪上の冰点人形
「まったく面倒なガキだ。≪ 伊予本  京  ≫の言われた通りにすればいいじゃないか。
            神        頼み                                                               空輪の光風人形
だから≪僕≫に≪会い≫にきた。違う?間違え?異論なら反論をどうぞ。≪ 小波津 光 ≫。」

学文路の発言に光は黙った。その様子に満足そうに学文路は笑う。

「なんだってどうぞ。僕はなんでも叶えられる。この世界は僕のもので僕が作ったのだから。」

世界の創作者は悲しそうな笑みで楽しそうに話す。
光は唇をかみ締めながら何も言わない。

「さぁ、どうしたい。気高い一国の姫?誰にでも愛される少女?
悲しい音を支配する魔女?それとも、・・・伊予本 鈴の妹かい?」

耳鳴りのような甲高い音がなった。
少女は、光は、学文路の目を目掛けて小さな指を突き刺した。
あと2ミリほどで虫も通れないような間しか彼女の目と光の指先は開いてなかった。
学文路は口元をニヒルに歪ませた後、くっと体を後ろにそらした。
障害物のなくなった光が真っ直ぐに少女の瞳に届く。眩しさのあまり光は目を瞑った。

「きゃはは。眩しいよね。ぶっちゃけ僕も眩しかったりするよぉ。」

学文路の口調はどことなく、この世界ではないどこかの双子を思い出されるようなものだった。
光はゆっくりと後ずさりして元の位置まで戻った。学文路も何事もなかったように体を戻した。
振り子の様な動きについていけなかった髪を丁寧に学文路は整えていった。

「ねぇねぇ、どうして?家族がほしいの?それとも彼が、雪上の冷却人形がほしいの?」

好奇心に満ちた口調であったが学文路の瞳は虚無的でどこかさめきっていた。

「兄なんてもってもつまんないよ。僕のところが実際問題そうだし。」
身内話をする学文路はギニョールを創り出し三体の少女をつくった人だと思えないぐらい平凡だった。

「分からない。分からないよ・・・。」

    生きて         考えられない                   人形だ               辿りつけない
「≪死んで≫、≪分からない≫の?それとも≪自我ない≫から≪考えられない≫の?」

話がずれていることを分かりながらも学文路は問いかけた。
それは好奇心からというよりも別な感情からのうように伺えた。
光は必死で言葉を思想を探し出す。人形だから、死んでいるから。
それはそうだけど、恵那月 宵だって死んでいる。でも、彼女は今までと変わってない。
病弱ながらも弟が生きているから?でも、弟が葉月だとしても宵姉は気にした様子じゃなかった。
ちょっと楽しみが増えた。
その程度だ。この前話した冰点だって実の兄がいてもたいした様子じゃなかった。
私は、というとこの前冰点に会った時の問いをまだ握り締めている。
自分の居場所、理由、存在価値。


           そ ん な も の
「≪すべて無意味で無駄で無効に満ちた戯言≫さ。さて、キミはどうしたいんだっけ?」
「ギニョールに居続けたい。」
少女の答えに神はゆるやかに笑った。


「お安い、御用さ。」
迷える少女に光が柔らかく差し込み、教会は再度静けさに包まれた。



裏オリジナル小説 「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 38



 らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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38-≪ パ ズ ル ≫


やかんが沸騰したような甲高い音が再度鳴り響いた。
音を聞いて急いでレコルは椅子を回転させて画面に向かった。
”Error”の文字は縦縞にノイズのように揺れ動いていた。
赤色の画面も亀裂の入ったように暗黒の世界が線のように現れる。
それらを何とか食い止めようと、レコルは指をせわしなく動かす。
カタカタとスタッカートを入れたように跳ねるような音がキーボードから発せられる。
白黒テレビが砂嵐をおこしたように、画面は荒れ果てていた。


「手伝うわよ。」
レコルの背中から宵の声と画面へ向かう足音が聞こえた。
宵は机を叩き、キーボードを取り出し素早く打ち始めた。
「・・・ありがとう。バックアップはいいから、このまま進めて。」
「はぁっ?」
レコルの発言に宵は驚いて思わず動き始めた手を止めた。
未知の情報に対して保護に入ろうと考えていた宵からして見れば意外な発言だったからだ。
「ようやく、たどり着いた!ずっと待ってたの。」
レコルは楽しそうに指で次々とキーを叩き、画面へと弾き出す。
画面の色彩が変わるごとに黒曜石の様に目を輝かせた。その姿はさながら宝箱を開ける冒険者のようだった。
「パスワード・・・。」
先程まで輝いていた瞳は苦渋をせまられた困惑の瞳へと変わり、ため息まで口にでる。
それでも、負けじと手を動かす。5分ぐらい続けた後、諦めたように手を放す。
「人形でもない、ギニョール、彼女、れま、学文路もやったし・・・。」
今まで打ち込んだ言葉を並べて、更に打ち込んでいない言葉から必死で探す。
しかし、レコルの頭のサーチエンジンはこれ以上ヒットしなかった。
「・・・ちょっと、宵姉さんがやってみていいかな〜?」
隣にいる宵が遠慮がちにそう言った。レコルは小さく首を動かす。
了解を得た宵は自信なさ気だが素早い動きで電子信号を送り出す。
最後のエンターで止まっていた画面が急速に動き出す。
パソコンが仕事を再開したように忙しない機械音とディスクを読み込むような音が響く。


「・・・なにを打ったの?」
唖然としたレコルが得意げに胸を張っている宵に問いかけた。
「ふふ、ただの直感よ。やぁね、そんな顔で見ないでよ。」
「だから、なんて!?」
じれったくなったレコルがせかす様に宵を見た。宵は苦笑いをした後パソコンの画面を見た。
「・・・学文路 故、兼六園 夕、小波津 光、恵那月 宵、羽衣石 斗。」
レコルは画面に映し出された名簿を読み上げる。宵は小さくため息をした。
「星になった人々の名よ。ところで、レコルちゃん。貴方、あの世界をなんて呼んでた?」
「・・・”碧落ギニョール”」
「ピンポーン、正解です。さてさて意味はなんだろう?」
「碧落は、青い空。大空。また、はるか遠い所。
ギニョールは、操り人形で、人形の胴体の中に手を入れて指で操るもの。また、それによる人形劇。」
「思いっきりコピーペーストされた回答でありがとうね。そんで、この世界はなんて呼んでるの?」
宵の質問にレコルは言葉を詰まらせた。そんな事今の今まで考えた事はなかった。
「青空の対義語ってなにかな?海?大地?曇り空?雨の日の空?ねぇ、なんだと思う?」
「・・・・・・。」
宵の問いかけにレコルは答えない。おそらく言いたいことは分かる。だからこそ、答えなかった。
「私はね、夜空だと思うんだよ。正解率としては0.3%だとしても、そう思ったりするんだ。」
「根拠は星ですが、恵那月 宵さん。」
「あはは、確かにそうだね。そういえば私の名前に月って入ってるしね。葉月もそうだぁ。」
どことなく嬉しそうに宵は笑った。その様子にレコルは顔色一つ変えない。
「でも、私たちより斗って名前の方がそうなんじゃないかなぁ?45%ほど。」
「柄杓、枡、容量・体積の単位、にわかに、小さな、二十八宿の一つ、斗宿。」
「あちゃぁー。漢字ってのは面倒だね。」
宵はわざとらしく頭を抱える。茶化す宵を無視し、しっかりとレコルは話を続ける。
「・・・つまり、ひしゃくの形をした星座、北斗七星とかけてるってこと?」
「まぁ大体そんなとこよぉ。斗宿とそれ、なんにしても星を意味しているって話。」
レコルは長く重い息を吐いた。長々と疲れが混じった息がレコルの体内から外に出る。
「・・・本当ご都合趣味。」
「それはこの前も聞いたわよぉ〜。宵姉さんは82%ご都合趣味で構成されてますっと。」
宵は今度こそ、この場を離れようと立ち上がった。ふんわりとした髪が彼女を追うように揺れ動く。


「でも、どこかの≪お人形遊び≫をしている人よりよくないかい?」


彼女の言葉が宙に投げ出されて、レコルの頭の中にゆるやかに刻まれていった。
ふと、部屋に一人になった時にレコルはあるミスに気がついた。
「だから、なんてワードだったの!?」
彼女が問いかけた言葉は虚しく反響するだけだった。



裏オリジナル小説 「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 37


 らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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37-≪カ ケ ラ ≫


「・・・・つまり、4世代存在するってことか。」
「うきゅ・・・、あの・・・れまを抜いたら大体それくらい・・・かな。」
どこのiPodだ。などと内心思いながら横に目をやるとスラスラと表を書き足す夕がいた。
書道を習ってるのかどうかは分からないが、お手本のように整った字だ。
これでもし女だったら、さながら美人秘書といったところか。まぁ、社長がヤツじゃ破綻だ。

「その学文路之のおばあちゃんと恵那月 宵しか死んでないってことだな?」
「・・・あっ、うん・・・。あとレベッカも一応、その・・・数に。」
細々と返事する様は虐待を受けまくった可哀想な少年か、狩人に見逃された小動物みたいだ。
肩の力を抜いて話してもらいたいとこだが、そんなとこ言ったところで逆効果だろう。
・・・もしかして、嫌われているのだろうか。いや、いつも樹さんはこんな感じだしな。
気にしすぎだろうか、でもこの場に伊予本が来たら確実にそっちを頼りそうな気がする。
俺も樹さんも。・・・まぁ居ない人物を考えても仕方ない。俺は次の質問にまわる。
「それで、一番上の代は学文路の兄、炎のおっさん、樹さん、雪上、宵姉ってこと。」
「・・・ん、恵那月 宵は一つ下の年代で・・・玖珂沢 炎は二つ上・・・だけど・・・。」
スラスラと夕がペンを走らせた。印刷機の様に機械的に整った字が大量生産されている。
入試の時だけでいいから、その字がほしいな。ぜひとも志望理由書を書いてもらいたい。

「っとなると、学文路の兄は樹さんと雪上と同級生ってことであってる?」
「・・・・ん、そう。・・・学文路 其は、友人関係が・・・多いんだっ。」
どこか嬉しそうに話してらっしゃるところ悪いですが、餌をもらって喜んでる兎にしか見えません。
気のせいか服のはずの兎の耳も動いてるように見えるぞ。アニメの見すぎだ、俺。
「学文路(兄)は、ギニョールの時には夕の中に。そして、こっちに移った時に樹さんにいたんだよな。」
「・・・うきゅう、そうだよ。」
「記憶は?」
「ありません。」
久々に声を発したと思われた夕が即答した。
言葉のキャッチボールが早い過ぎる、メジャーリーグのピッチャーか。
恐る恐る樹さんが手を上げた。いつから挙手制になったんだ。
俺が先生だったらテストなしにするけどいいのか。

「・・・あの、・・・覚えてるよ。知り合い、だからかもしれないけど・・・。冷と話したの。」
「碧落の崩壊と関係あるのか?・・・って、はあ?伊予本と?」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
驚いた俺に驚いたらしい樹さんが目を見開いた。なんだこの驚き連鎖。
夕は驚いたというより不思議そうに首を傾けた。そうりゃあ、こいつって伊予本と会ったことあったけ。

「・・・・ん、記憶の改竄っていうか・・・抜き取ったって言うか・・・。」
勉強面ならぜひとも抜き取りたい。っというかそんなハリーポッター的な力が存在するのか。
世の中便利になったものだ。などと茶化す反面、オール10の友人を心配した。
「具体的にどのあたりってのは・・・。」
「分かるよっ。たぶん、だけどね。絶対じゃないけど、・・・羽衣石 斗に関してだと思う。」
突拍子もないことを言われて、また奇妙な声を発しそうだが急いで飲み込む。
なんだって、なんで羽衣石、なぜに羽衣石、どうして貴方は羽衣石なのって、これは違う。
どこでも羽衣石。ってこれも違う。などと途中から面白くなって某ネコ型ロボット風に遊んでしまった。
「どれで、じゃないや。なんで、羽衣石の記憶を伊予本から学文路の兄は取り出したんだ。」
「・・・仮定だけど・・・其は、彼に接触しようとしているからか、彼がキーパーソンだから、かな。」
横の夕が図に『伊予本←学文路 其』って書いていた。
どこぞのラブドラマに見えるから矢印はやめろ。
と律儀に突っ込むのはやめといて、黙って見守っておく。夕には悪気はない、と信じておきたい。

「・・・キーパーソン?まぁ、確かに妙なヤツだけど普通の男子高校生だぜ。俺も羽衣石も伊予本も。」
「いや・・・その、羽衣石 斗くんは、違うんじゃないかな。」
くん付けになったぞ、羽衣石。これは誉めるのか貶すべきか悩んだ挙句、スルー発動。
俺は話を進める事にした。
「具体的にあるんですか。ギニョールに居なかったからとか、天パじゃないからとか。」
「・・・その、詳しくは分からないんだ・・・。でも、きっと何かある・・・と思うよ。」
標準装備でクエッションマークをつけられたら説得力にかけるが、樹さんの意見に従っておこう。
いや、従うほかないのかもしれない。謎だった質問をぶつけてみる事にした。

「樹さんはこの事に関して知識が結構あるよな。他に誰があるんだ。」
「えっと・・・学文路 其、喜界島 心、玖珂沢 炎、レマ。あとは断片的に冷や天一神姉妹、宵、そして君。」
「これで断片的ね・・・。」
そりゃあ、気が遠くなる話で。まったく何でこんなややこしいことしちまってるんだよ、学文路。
などといちゃもんつけたところで仕方ない。俺は情報を整理すべく頭をフル回転。
「情報を比較的に理解しているのは学文路の兄の世代って事か。
断片的には学文路の妹の世代。えっと、つまり学文路と天一神姉妹。そして俺ら、か。」
「そんな感じだね・・・。」
「逆に残りの光、夕、冰点、葉月はまったくってことか。」
俺の発言に軽く嫌そうな目で夕が睨む。仕方ねぇーだろ、事実なんだから。
「ん・・・。恵那月 葉は分かってる方だと思うけど・・・おおまかに、そうだね。」
「年齢的には上から順に。」
「20代後半、前半。あと、その、冷たち学生の17歳のと、10代前半らへんかな。ざっくり、だけど。」
年齢順に並べられそうだ。上は故人から下は10代か。なかなかのストライクゾーンだ。
夕は書いていた表に律儀に年齢まで()付けで付け足している。お疲れ様、書記係。

「・・・ふ〜ん。そんでもって、何人がここに居るんだ。もちろん死んでる人は抜いて。」
俺の発言に紙の方を見つめていた夕がプレーリドックみたいに目をあげてきょろきょろした。
樹さんはクイズの司会者の様に焦らすような間を開けた後、小さな桜色の口を開いた。

「・・・全員、だよ。」

今度こそ抑え切れなかった頓狂声をあげた。



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」36



 らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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36-≪ 線 と 点 ≫


メトロノームのような規則正しい機械音とランダムで不規則な心臓音が響いていた。
気紛れに鳴る心臓音を記憶すべく小さな液晶の中でグラフがジグザグに動く。
音は途切れ途切れだが、もう一つ存在した。血液が焦らすように落ちてゆく音。
血はパイプの中を潜り透明な管を滑るように流れ、ベットに寝ている少年に吸収された。
そこは病室だった。真っ白な部屋の中に小柄な少年が虚ろな目で横たわっていた。
少年の体は先程の管の他にも無数存在していた。足、腕、腹部ありとあらゆる場所がつながれていた。
息をするたびに少年の口と鼻を覆うようなマスクは薄っすらと霧のように曇っては晴れていく。


自動ドアは横にスライドし開いた。中からは背の高く凛々しい女性が現れた。
「実は此処に来るの止められいたんよ。いやいや、大変だったのぉ。」
わざとらしく笑い腰あたりまである長い髪を揺らしながら少年の傍に寄った。
少年の虚ろな目はゆっくりと蝶を追うように女性へ向いた。少しだが瞳に生気が戻り始めた。
「らしくないのぉ。まったくもって。どうだかりゃ?あちらへ戻りたい?」
にやにやと笑って管の間を上手に抜けて少年の頭を撫でた。
少年は通常より強くマスクを曇らした。その様子は必死で答えるようにも見えた。
それに応対するように女性はポケットから鍵を取り出した。

「がっちゃん。」
アンティーク調の鍵を女性は掛け声ともに右に45度ほど手首を回した。
少年は鍵を生気の戻りかけた目で凝視した。先程よりも息も荒い。
「・・・なんっつーて。冗談さぁ〜、あっしにそんな力はありゃせんよ。」
クスクスと忍び笑いをして女性は鍵を握った手をポケットへ戻した。
少年は開きかけた目を元の位置までゆるやかに降ろした。
「・・・あっしにはなんもない。しかし、もうお向かいの時間さ。」
ベットに横たわっている少年から目線をあげて女性は遠くを見た。
真っ白な部屋は光に満ち溢れて、新たな白に飲み込まれていく。
聞こえていた音も遠く、管や医療機器の影も形も全て、新たな光に浸食された。


再び影が戻った時には世界は生まれ変わっていた。
先程とは正反対な薄暗くぼんやりと明かりが頼りなく光る部屋だった。
二人が互いの顔を確認するより前に電気の流れる音が二・三度短く響き電気がついた。
急に明るくなった部屋に、女性は・・・レコル・シャルツは眩しそうに目を細めた。
「お帰りなさい。待っていた、というべきかな。」
楽しそうに手を叩いて二人を迎えたのは≪雪上人形≫またの名を≪喜界島 心≫だった。

「くかーっ!体がっ!鍵が!葉月きゅんが!部屋がぴかぴかでくろくろ真っ黒で、くかーっ!!」
初めて手品を見たように興奮した様子で必死に説明しようと少年は・・・≪月ノ葉人形≫は話す。
うまく伝えられずもどかしいのか「くかーっ!」と雄たけびを上げて手をぶんぶんと振り上げた。
「おい、雪上。あっしは、あのまま病室で寝てるほうが静かで良かったぞい。」
「個人的には彼の五月蝿さで困り嫌がり煙たがる冰点を見たいからいいのさ。」
「悪趣味なこうって。」
二人の話に完全に耳を傾けてない様子の葉月は自身が生きているのを確かめていた。
頬を引っ張り耳を触り二・三度ジャンプしてバットの素振りをしたり様々な動きをした。
走り回る葉月は一時動きを中断し、静かに一点だけを凝視した。
部屋の中心部から小さな穴が空いて、舞台の大掛かりな装置の様に動いていた。
雪上がいつの間にか操作してるらしくパソコンの前に陣取っていた。
一度消えた床は、隠した青年をつれて再度姿を現した。葉月はそちらに向かって走りだした。
それに気がついたレコルが間に入ろうとしたがとき既に遅かった。


「ここは何処・・・ってちょっと、ストップ!今すぐ停止して!」
足音を察知して叫んだ忠告はあっさりと無視をされ勢いよく葉月は青年にダイブする。
衝撃を受け止められずに青年・・・≪雪上の冷却人形≫は目隠しをしたまま倒れた。
「くかーっ?おめぇー、にょろにょろ眼鏡じゃねぇーかっ!ご無沙汰なんだぜ!感謝しろぉ!」
葉月は起き上がる事より目の前の冷に興味を示したらしい。更に抱きしめるようにする。
「葉月君、分かってないでやってたの。知らない人を見たらもう少し警戒した方がいいよ。」
目隠しをしてため表情は分からないが口調からして少々あきれ気味だった。
「くかーっ!スペシャルゴージャススーパー葉月きゅんは見抜けてたんだぜ!」
「先程とは真逆ではないかのぉ。演技かりゃあ?」
思わず口を挟んだレコルに思いっきり葉月は頷いた。

「・・・葉月君、君は宵姉が実の姉だって知ってどう思った?死んだ姉が幻想で・・・」
冷の発言で空気ががらりと変わった。それでも声を潜めて、言いずらそうに残りを続けた。
「・・・君のした事は誰かの手の上で踊らされてるって分かって。」
「くかっ?そんなもん、葉月きゅんの前では無意味なんだぜ!気にするほどじゃない話なんだぜ!」
苦そうに言った冷に対して、一瞬だけ顔をしかめた後葉月はそう言った。
葉月は冷の後頭部に手を回して、彼にだけ聞こえるように耳元で低く小さく言った。
「・・・本当は恨んでるさ。彼女の事は。」
そう言ってすっと体を離そうとした葉月を目隠しをしたままの冷が引き止めるようた。
目が見えないため髪を触ろうとした手は葉月の頬に触れた。
「・・・宵姉に同じ質問をしたんだ。そしたら嬉しいって答えてたよ。」
「くかーっ!そっちじゃねぇーよ!ぐるぐる違うんだぜ!」
葉月は軽く笑って冷の手を自分の手そして頬で挟み込んだ。
暖かな少年の体温と低温の青年の温度がゆるやかに交わる。
が、その刹那二人は引き離された。葉月の脇から手を忍ばせて強引に立ち上がらされる。

「じゃれ合いはそこまでにしておけ、恵那月 葉。」
か細い雪上は葉月を開放しながら、にこやかに注意をした。
葉月が降りて自身も体勢を戻そうと冷は手探りで床を探す。
「・・・これは前回の皆は何処にいる、の回答ですか。」
「察しのいい子で助かるよ、我が人形。しかし、その後は知る必要はない。」
雪上は満足そうに、ゆるく笑った。

「・・・何故なら、今回は”君”が選ばれたわけではないのだから。」

語るような甘いささやきは部屋に反響し、全員の耳に届いた。



裏オリジナル小説 「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 35

 

 らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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35-≪ 後 日 談 ≫


 

           れま
「えっ、≪レマ≫にかい?それは無意味で無慈悲で無価値な質問だね。答えが未定なはずがないだろ。」
それは女の声だった。
悲しみとも楽しみともとれない口調で、電話に話しかけていた。


                                                                                               仲間
「随分と愉快で不愉快にして滑稽な発言だ。・・・そういう君はどうなんだい?≪人形≫に再会して感動し会話をしたいかい?」
それは少女の声だった。
問いかけるように咎めるように、電話の向こう側の相手に言葉を紡いだ。


           
                               誓って
「その夢話は、僕がか≪叶えて≫みせよう。君自身、やるべきはもう分かっているだろう?この喜劇にして悲劇な無人な劇の終わりを。」
それは彼女の声だった。
宥めるように意気込むように、電子音となって語っていた。


                                                                               終演のベル
「ふふ、それを聞いて安心して落胆して退屈したよ。≪星屑は踊り赤い部屋に君の声が響く≫、ただ其れだけを願っているよ。」
それは世界の声だった。
祈るように宣言するように、部屋に、電話に、響いた。



             ロジック
「君まで≪そんな事≫を聞くのかい?なんだか軽く失望し絶望し残念無念と言ったところだよ。」
それは人間の声だった。
何も知らない子供のように誤魔化すような大人のように、声が反響した。


                                                                              Re;Marionette
「ははっは、そうだね。答えは、君の兄と僕の・・・・、あぁ、そうさ。≪愛した者たち≫の為さ。」
それは学文路 之の声だった。
物語を紡ぐように映画を見た感想を述べたように、柔らかく言葉は空気に触れた。



「いいよ、それで。所詮、終焉なんて銘打っても終演で周縁なんだから。だから、・・・また会える。」
それは≪不確かなる二重奏≫の声だった。
世界の終わりをみるように新たな扉を開けるように、言葉は含みをもたせて電話に吸い込まれた。

                                 

「責めていいんだよ、君には、いや、≪君たち≫にはその権利が理由がロジカルがある。」
それは友人の声だった。
縋るように怒るように、優しいソプラノが電話の先に粒子となって発せられる。



「・・・・。」
それは静寂だった。
任せるように自制するように、無言の言葉は流されるようにそこに存在した。



                                                   ミチシルベ
「これは正解で正論で正当なただ一つの≪方程式≫?・・・僕は私は世界は未だに悩み戸惑い混乱している、本当にこれが正しいのか。」
それは空っぽの声だった。
逃げているように叫ぶように、声は曲線を描くように彼女の口から謡いだされた。


「「限界なんだよ、知っているだろ?理解しているだろ?感じているだろ?」」
それは過去の声だった。
思い出につかるように振り払うように、歪な歌がメロディーを無視して奏でられる。



             キミ
「実に≪認識するもの≫らしい発言だね。ふふ、先程のセリフと一緒にしっかりと認識し理解し承諾しとくよ。」
それは子供の声だった。
甘ったるいようシナモンのように重苦しい低音のように、愛しいハーモニーが口真似された。



                                                                                            タイムアウト
「もう少し談話し討論し語り明かしたい気分だけど、残酷で残念な事にもう≪時間がない≫。」
それは大人の声だった。
言い切るように余韻を残すように、悲しい歌詞が詠われた。



                                     ありがとう
「落ちて堕ちて、お疲れ様。≪さようなら≫、また舞台で出会いましょう。」
それは老婆の声だった。
碧落のような星屑の空のような、淡い言の葉が世界を繋いだ。




裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 34

らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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34-≪ 雪 時 計 ≫




町は一面薄暗い銀世界だった。
空高くから羽の様に雪が舞い落ちる。
大粒ではなく、ふわふわとした雪は町を覆うように降り注いだ。
雪のカーテンに覆われて町は一層肌寒い。
それに対応するようにマフラー、厚着のダッフルコートを着こんで少年は歩いた。
少年が歩くたびにシャリシャリと氷を踏みつける音が鳴る。
外は真っ暗で人っ子一人居なかった。
暗闇に反比例するように街灯の下は雪に反射して真っ白だった。
光の間を縫うように少年は音を響かせて歩く。


・・・今度は一緒に居る、守るっていったくせに。
などと兄との会話を思い出しながら、無言で歩を進めた。
結局のところ、人を信じるべきではなかったのかもしれない。
そんな疑念をあっさりと受け入れて、真っ白な息を口から吐き出す。
伊予本 鈴、兄と一緒にいた時間はどれだけあっただろうか。
そんなことを思って暗算をしようとしたが、すぐにやめた。
めんどくさい。すでに自分の性格と化しているその言葉がぴったりとはまった。
少年は考える事を放置して、ぼんやりと光の下で立ち尽くした。


「こんにちは。失敬、こんばんは。≪雪上の冰点人形≫、または伊予本 京くん。」
暗闇の中、男の声が聞こえた。名を呼ばれた少年、
冰点は返事をせず自身の肩に積もった雪を払った。
男はそのまま足音ともに近づいていき、街灯の光のサークルへ足を踏み入れた。
背丈は高く、男としては長めの真っ黒な髪で、柔和そうな顔立ちをしていた。
全体的に落ち着いた系統の服の中に首元の真っ赤なマフラーだけが浮き出るように主張されていた。
「人違い、ってことはないようね。そんな運命で偶然で必然はないだろうね。」
男は楽しそうに笑って、皮革の手袋に包まれた自身の手を前に出した。
冰点はその手を握らず、自身についた雪を払うように髪に手を伸ばした。
男は暫く、眉を八の字にして見守ったが、やがて諦めたように手を戻した。
「Notハローっしょ。なんか用あるわけ?」
短めに言葉を発したが、依然として興味がないらしく冰点は男を見なかった。
「あるね。私は学文路 其【カムロ トキ】、≪不確かなる二重奏≫の兄だ。」
男は、其は反応を伺うように冰点を見たが、冰点はどうでもよさそうな目で見ただけだった。
其は仕方ないと諦め交じりの真っ白い息を吐き出した。

「そんで?」
「味気ないね。面白い話がたくさんあるっていうのに。嘘も誠もひっくるめて面白い話。」
冰点は其の顔を見飽きたように、視線を下に落とした。足が冷えて痛い。
逆に暑ささえ感じるよだった。
「例えば、君に付き纏う葉月、恵那月 葉は病弱な少年で今現在もこちらの世界にいたり。」
冰点は一瞬、眉をあげたが瞬時にいつもの無表情に戻った。
「例えば、彼の姉、恵那月 宵は死んでいたり。雪上と樹は私と同級生だったり。」
男は淡々と話を続ける。自身の肩に積もった真っ白い結晶を気にせず話す。
「例えば、内気で有名な樹こと奥津野 苑は実は暴力団のトップだったり。」
冰点は耐え切れなくなったように小さく笑い出す。隠すように手で口元を触ったが、笑っていた。
「例えば、玖珂沢 炎はおっさんではなく気さくな居酒屋の青年だったりね。
まぁ信じなくてもいいけど。」
其が話を続けるうちに、冰点は無表情を崩していった。しまいには完全に声を上げて笑った。
そのまま何分か笑い続けた後、もとの表情に戻すように湯気のように息を吐いてこう言った。
「Notリアルっしょ。ありえねー。」
其はその言葉を見透かしたように、次の言葉を即座に紡いだ。
「どれも本当で、どれも嘘だ。種を明かしたらつまらないだろう。信じて信じるな。」
「・・・・・んー。ん、宵姉は死んだか。」
冰点は其の言葉を無視したようにそう言った。あるいは続けるようにそういった。
其は少し困ったように、白い息を吐き出した。
「それに関しては教えてあげるよ。≪火種の宵闇人形≫は死んでない、恵那月 宵は死んだ。」
「・・・ふーん。」
「まぁ、どうせ君か葉月君にしか伝えられない話だし、もう少し話すよ。」
「Notサンキュー、めんどい。」
冰点の拒絶を聞かずに其は話を続ける。
「≪白熱の夕風人形≫は祁答院 優【ケドウイン ユウ】と言って、
≪空輪の光風人形≫は小波津 光【コハツ ヒカリ】」
冰点は厭きたらしく其に蹴りをいれようとするが、するりとかわされた。
其はかわしたことにより自身に積もった雪がひらひらと落ちる。

「不機嫌だね。寒いからかい?それとも私が何でも知ってるからかい?」
「Notトークっしょ。」
冰点は容赦なく二発目を入れた。其は一歩も動かずその足蹴りを喰らって笑っていた。
わざとらしく蹴りを受け止められて、明らか不服そうな顔をしていた。
「君はさぁ、伊予本 鈴が自分の兄だと知って、認識して、家族になってどう?」
「うっさい。」
冰点は受け止められた足を戻し、素早く雪のカーテンを裂くようにもう一度蹴りをいれた。
弧を描いた冰点の片足は、其の手に受け止められた。
「小波津 光はどうだっただろうね?ニセの記憶で兄を殺し、現実には誰もいない彼女は。」
バランスを崩した冰点は片足で支えるには限界がきてすべる様に雪に倒れた。
顔面に雪が降り積もる。見下すように立った其は冰点の残りの足も下へと突き落とした。


「尚且つ学文路 之、私の妹のマリオネットでもない。本当に行き先がない。」
「うるさい。」
冰点は何も考えず、そう言った。いや、何か考えてたのかもしれない。
けれど説明できるほどの明確なものではなく、ただ面倒で五月蝿かった。
という非常な回答しか浮かばなかった。
「恵那月 宵も現代の居場所がないが、訳が違う。彼女はしっかりと人間として生きてた証がある。」
「Notトークっしょ。なんの、さっさと言えば・・・あぁ、めんどい。いいや、話せば。」
冰点の態度が気に入らなかったのか、其は地面に倒れている冰点のわき腹を軽く蹴り転がした。
雪が服に浸透してきて冷たかったのか髪の間から見える顔は不愉快そうだった。
「君は可愛くないね。今度は頭を蹴り上げちゃうよ?君は罪悪感を感じないたちかい?」
「Notユーっしょ。その言葉リターン。」
「君だって知ってるだろう。小波津 光の兄は伊予本 鈴に似ているんだ。似せたわけではない。」
横向きに倒れていた冰点は、手で上半身を持ち上げるようにして起き上げた。
全身に雪が纏わり付いて白い合羽を着ているようだった。


「だから、なに?」
「何もないよ。別に兄を奪った君に悲しんでほしいわけじゃない。そうじゃなくて・・・。」
「だから、なに?なんなわけ?小波津 光はどうしたいわけ。」
其は、いや光は驚いて目を見開いた。それと同時に風が吹いた。二人の頬に冷たい風が通る。
冰点はいい加減起き上がったらしく、風の中服を全身は叩く。目線を戻すと其はいなくなっていた。
街灯の光の円形に自身の影しか映ってないことに気が付き、冰点は息を吐いた。

「なんで分かったの?樹ちゃんの時もそうだけど、なんで?」
「Notライトっしょ。なんとなく。っつーか、あぁ、めんどい・・・。」
「学文路 其は確かに此処にいる。そして今、おいらは其殿の記憶をリンクしている。完全に同一なのに・・・。」
暗闇の中から少女の声が聞こえる。冰点は髪の毛の雪を払っていた。
「やたらこの話題だけ長い。あと現実に存在しないのに、名前がこっちのあるの・・・・あぁ、そう。」
説明するのが本気でめんどくさいらしく矛盾点だけ指摘した。暗闇の中から小さな少女が現れた。
少女は、そうかっと小さく頷いた。銀の色の世界に小さく声が響いた。
「なんか、すごいかっこ悪い。情けないし、ずるいし。ごめん。あぁ・・・ごめん。」
かみ締めるように少女は謝罪した。自己嫌悪に眩暈がしたように、少女は真っ白な地面を見た。
先程の其とは違い真っ赤なマフラーに顔の半分がすっぽりと入りそうだった。
「Notクライっしょ。それに、どこまで・・・。」
どこまで其の意思か、光の意思かは分からないし。
言いかけてめんどくさくなったのか、
らしくもないことで気恥ずかしくなったのか、言葉を続けなかった。
二人の間に小さな静寂がおきる。空からはもう、羽のような雪は降ってこなかった。

「・・・あのね、私は、どうしたいかって言うとね。わがままで勝手だけど・・・。」
「・・・・。」
「ギニョールに戻りたい。」
それだけ言うと少女は何故か目から溢れた小さな雫だけ残して消えていった。
涙は白い世界の中に染み入るように消えていった。
Okっしょっと人知らず少年は呟いて、彼もまた消えていった。



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