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  • 2011.04.10 Sunday
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小説

再開予定


お知らせ


戯言吐ックにお越しいただいてありがとうございます。
本日、7月13日金曜より小説の更新は
こちらに移動します。





また過去の小説は、
この戯言吐ックか、
(まだ全部収納してませんが)
こちらにあります。


今後ともよろしくお願いします。


管理人 コッコ☆

2010.7.13










Powered by NINJA TOOLS


オリジナル小説「からくり人形は星を描く」 最終話 55



オリジナル小説。「からくり人形は星を描く」



    *

青年はその後の世界について問われた時、こう答えるだろう。
どうでもよい、っと。
青年にとっては興味の関心ではなく、あくまで大切なのは生活だった。
自分を満たすだけの世界。
だから、この世界の前後など無意味なのだ。
---大切なのは・・・・


「にゃらら〜ん。おはようにゃん、はかるぅ〜。」
「おはよう、は違う気がするんだけど・・・。久しぶり、空羽。」
「にゃん?ん、そうだっけにゃ〜ぁ。昨日ぶり!」
「・・・・一年ぶり、だよ。」
「にゃはは〜。気にするんじゃにゃいにゃん〜。」


常に今である。
能ある鷹は爪を隠す。ただし、青年が隠したのは右目であった。


    
      *



二人の少年はその後の世界について問われた時、こう答えるだろう。
かわりないっと。
少年たちにとっては、この世界はいつでも変わらぬ場所である。
暖かい場所。
だから、少年たちは笑うのだ。
---しかし、少年たちはいつの日か・・・


「お帰りなさい!いきなり消えるから心配してたんだよ!」
「帰ってきたの?きゃははっ、また馬から落ちたのか〜?」
「少しだけ高くなったな、火影、陰火。」
「「少し、じゃないっ」」



現実を知らなければならない時が来る。
鹿を指して馬となす。
指差した手をつたい腕へと伸びた、どこまでも不完全な双子。




    *     


女はその後の世界について問われた時、こう答えるだろう。
進んでいるっと。
女にとっては世界は進んでいる、刻一刻と生まれ変わっている。
新しいものへと自分も周りも変わっている。
だから、この世界は常に興味深いのだ。
---それでも尚、歩みを進めるのは・・・



「おぉ。斗、元気そうでよろしいのな。」
「時雨こそ、相変わらずで安心したよ。」
「相変わらず、か。ん、そうだな。相変わらず、私は暁大好きだ。」
「・・・・はぁ。」



古いものも新しいものも守り抜く為だ。
狐が下手の射る矢を恐る。
狐だって彼女の手にかかれれば混乱せざるえないのであろう。




     *



少女はその後の世界について問われた時、こう答えるだろう。
変わっている。
少女にとって、世界は面白く自分のものではなくてはならないのだ。
自分が愛す世界。
だから、少女は決断した。
----そして、少女は・・・


「きゃわ−ん!斗ちゃ−ん!!お帰り−ぃ。/・・・待ってたぜ。」
「ただいま、烈火。・・・ん?」
「ん?ん?なぁ−に?包み隠さず−ぅ。/・・・言ってごらん?」
「・・・髪、切ったのか。」
「ご名答だ−よぉ。」


決断したのだ。変わることを。
猫をかぶる。それまで耳を閉ざしていた世界にようやく少女は向き合った。



    *



男はその後の世界について問われた時、こう答えるだろ。
何もないっと。
裏切りをした自身にとっては、何もない。罪以外の何も。
それは空っぽな世界だった。
だから、男はまた笑うのだ。
---本当の・・・


「りゃっほいっ!はかるん、はかるんじゃないか!っておい、俺様暁様が最後かよ!」
「・・・だって、一番気が重い・・・ね。」
「うぉい!その濁しは優しさでできてるんだよね?OKっさぁ!・・・でもさ。」
「・・・なんだよ。」
「もう来ないかと思った。・・・だから!ぱーぁっと大騒ぎしってやんよ!あっそぼう!」


世界を、自分を笑わせるために。
蛇の生殺し。それでも男は足の枷を振りほどき歩き出す。


   *



少年はその後の世界について問われた時、なんと答えるだろう。
馬に乗った、あの少年は・・・。







  




 



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 43

らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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43-≪ 黄 昏 時 ≫


 

「学文路って結局、サヴァン症候群だったんじゃないかな?」
「はぁ。サヴァン?なにそれ、新しい必殺技かなんか?強いの?MPはいくつなくなるんだ。」
「黙れゲーム脳。あぁ・・・でも、確かにそんな感じはするよね。」
お昼ごはんをそれぞれがつまみながら会話する。
学校のお昼休みとあって教室は雑音であふれかえっている。
あちこちで話し声や携帯電話の音ゲームの音など騒がしいけど、楽しいノイズだ。
僕は購買で買えなくて自販機で諦めて買ったお惣菜パンに口をつける。


「んで、そのピアノの練習曲みたいなヨーロッパの高いお菓子みたいなのはなに?」
などと安芸村が茶化すように聞いてくる。いや、本気で知らないかもしれない。
しかし食事を中断してまで話すのは面倒だったので横の彩り豊かな弁当をつまんでいる伊予本に目線を送る。
ちょっとだけしかめっ面になったが、仕方なさそうに笑った。愛想のいいヤツだ。


「フランス語で「savant」は賢人って意味があってね。知的障害や自閉性障害のある者のうち、
ごく特定の分野に限って、常人には及びもつかない能力を発揮する者の症状、まぁいわゆる天才の類だね。」
「伊予ペディア。あっ、イヨエもんか。どっちにしろ頑張ってくれたところ悪いが分からん。」
安芸村の発言をあっさりスルーして伊予本は僕の方を一回見た後、箸を持ち直した。
おそらくこれ以上の説明は僕がしろって意味なのだろう。
う〜ん、でもめんどくさいし、安芸村は興味なさ気だしな。


「取りあえず、学文路が天才なのは分かるだろ?でも、なんか言葉に違和感がなかった?」
「ん?あぁ、確かに。大声で歌ってるのに歌詞間違えてる感じだよな。」
「というか言葉の概念を根本から無視してる感じだよね。あぁ、羽衣石が言いたいのはそういうことか。」
物分りのいい友人で助かる。
これが双子や空羽だったら全て聞く前に飽きて別の話題に変わっていただろう。
そんな理解力のある友人の弁当の具を一つ盗み食いしたら怪訝そうな顔をされた。
その顔一つで許されるのであれば安い方だ。
「なんだよ、イヨエもん。っつーか、お前がのび太だろ。眼鏡なんだから。」
「学力だと君だよ、安芸村。つまり、自閉症だからコミニュケーション能力に欠けてるってことだろ。」
「そうそう。あとそっちもほしい。」
僕は許可がおりるより先に伊予本の弁当を食べる。ん、おいしい。
時雨といい勝負だな。今度、料理大会とかやったら面白そう。などとどうでもいい事を思った。
・・・でも、一応同意は得られたか。正直、僕は先程の話題がずっと気になっていた。
彼女の言動は矛盾が多い。だからこそ、人形をつくったのだろうけど。



「触れてほしくない話題だったらごめんな。羽衣石って兄弟が居たんだね。」
「一人っ子は俺だけか。ん?いや、初耳だぞ、伊予本。」
「いや、居るとも居ないとも言えないんだよなぁ・・・。」
僕の曖昧な返事に伊予本が小さく謝った。別に気にしなくていいのに。
ふっとよく喋る安芸村の方を見たら、もう弁当が空になっていた。


「向こうには居るよ。今頃は学文路 之とレベッカと遊んでいるんじゃないかな?
でも、そんなんだから実質一人っ子だよ。安芸村。」
「はぁ?いやいや、もうそれじゃあ兄弟じゃねぇか。」
と安芸村は感想の様に言葉を零した。なんだか、それに対して嬉しい気分にもなる。
「羽衣石、ニヨニヨすんな。なんだ?昨日のアニメでも思い出したのか?」
「安芸村と一緒にしないでよ。」
と僕がわざとらしく笑うと安芸村がオタクなめるなっと言って親指を突き出した。


「それに羽衣石、僕も弟の京、冰点はあれ以来こちらに来ないけど兄弟だと思ってるよ。」
「そこに光ちゃんもミックスしてやれ。」
「なんで?」
「うわぁー来たよ。鈍感☆ボーイ、いい加減解決しろよ。」
「まぁ羽衣石の話に戻すと、お前は一番行きやすい位置にいるんだから、な。」


伊予本の言うとおり僕が一番あの世界に行きやすいのだ。
なにせ、繋がるワープホールはあの紙なのだから。

 

 



 

いつだって皆に会える。



 

 


物語の様に本を閉じるような環境じゃない事が僕の胸を温めた。



オリジナル小説 『からくり人形は星を描く』 残骸

 


−残骸。−

 


-054&裏35-電話のやりとり-

 

僕は推測はせず、さっさと携帯の電話帳を開く。
迷うことなく名前を発見し、即座に呼び出しボタンを押す。
電話とは不思議なもので特有の緊張感があるとメール派の僕はいつも思ってしまう。

相手は3コールぐらいででた。
出合った時とまったく同じ口調だった。
僕は現在の状況を説明した後、気になって仕方なかった質問をしてみた。
電話先の人物はあの子に会いたくないのかと。
空羽の仕事のときに見た少女にして彼の片目となったあの子に。
その答えは肯定にも否定とも取れないようだった。
僕は彼女の発言に感想じみたことしか返せなかった。


「・・・話し方が似てる。家族だからかな、いちいち回りくどいよ。」

ちょっと言いすぎたかな、と悩んでいると電話の向こうから笑い声が聞こえた。
その後、彼女は皆に会いたいかと僕に問いかけた。
僕は迷わず即答で答えた。会いたくないはずがない、会いたい、皆に。

彼女は自信たっぷりにそれを引き受けて、僕にあの計画を確認してきた。分かってるよ。
と短めに答えるとまたクスクスと笑い声が聞こえた後あの回りくどい言葉が返ってきた。


「どうしてこんな事をしたんだ?」

ただの好奇心で聞いたのだが、気に入らなかったらしく何故か僕が非難される羽目となった。
暫くすると思い出したように彼女は軽やかな笑い声と共に返事が返ってきた。
ご機嫌斜めではなかったらしい。


「・・・。ありがとうとはいえないよ、でも楽しかった。」

対する僕はそんな感じで電話先の答えに少し複雑な気分で答えた。
電話越しでもそれが伝わったらしく雰囲気が気のせいか先程より真面目に感じられた。
そんな様子に僕は何も言えなくなった。


「そんなことはしない。少なくとも、僕はしない。」

更に相手の意外な言葉に僕も思わずそう言った。
フォローのつもりもあるが本心からの言葉だった。
電話から聞こえていた声は止まった。
つられて僕も無言になると、また電話先の彼女が話し始めた。


「分からないけど、そう信じればいいんじゃないかな。」

僕の気休めは通用しなかった。彼女は一方的に言葉を叩きつけた。
電話でもその必死さが伝わる。


「巻きもどしても、なにもならないんだよ。学文路。」

僕は彼女の名を口にすると彼女は元に戻ったように口調を最初の頃に戻した。


「そうしといてくれると助かるよ。」

と僕は別れの言葉を口にして電話を切った。
次に電話する場所は電話帳を開くまでもなく電話をかける。


「からくり人形は星を描く。九尾狐に会いし者、我が紙の前にRe;Startし世界を繋げ。」

 

 

−幻の055と56。別の解釈−

 

 

エピローグというか後日談にあたる話なのだが、様々なごたごたを乗り越えて僕は改めてこちらの世界に戻ってきた。
本日休業と書かれた札をぬけて僕は暁の喫茶店にいる。

ぶっちゃけ貸しきり状態だ。
若干罪悪感もあるが、きっと聞かれたくない話があるのだろう。
う〜ん、心当たりがあって否定するのが難しいぐらいだ。
さてどれから聞かれるんだろうっと思ってると僕の前にコーヒーを置きながら暁は向かい合わせに座った。
表情はいつも通り変わらない芝居がかった笑顔だった。
口火をきったのは僕だった。


「まったく、土だらけになりそうな僕を見捨てるのは酷くないかな?」

「あはは、その件はすまなかったね。でも結果的に平気だったんだろう?そうそう、俺様暁様の質問コーナーでよろしいかい?りゃりゃりゃ、返事はもちろんYESだよね。
・・・・本当はどこまで知ってたの?いや、ここは的確に言おう。いつ知って、どこまで知っていたんだい?」

「同じ質問を返すよ、学文路 其。」

「君が羽衣石 斗じゃなくて死んだ兄である事。
                  おそらくそれは黒猫か蛇に絡まれた時に入れ替わった。」


伊達眼鏡が反射して瞳は見えず、口元の笑みは消えていた。
僕に合わせてそちらの口調を選んだのだろう。


「ご名答。今度は僕が答えるよ。全てだよ、僕も弟も全てを知っている。」

 

僕は記憶を辿りながら、そう言った。
元々は鷹に出会ったときに会った少女が僕と弟をつないでくれたのだが、そのおかげで僕らはお互いの記憶や心情をリンクさせることが出来た。
いわゆる完全な双子。


「まったく困ったものだ。確かに双子の入れ替わりは小説の十八番なのだろうけど。」

「そうは言っても火影と陰火だったら分かりそうだけどね。」


と僕が言うと暁は小さく声を立てて笑った。
言った後でなんだが、僕らさえも知らないうちに彼らも入れ替わってたのかもしれない。
なにせ相手はあの癖のあるいたずら好きの双子だ、なにが起きてもおかしくない。
まぁそんな事を言っても仕方ない。


「けれど、君たちはブレがなかった。双子というよりコピーに近い。
                                                    ・・・アレを使ったのかい?」


暁のセリフに僕は頷いた。
そうなのだ、僕ら、いや的確に言えば名前のない僕は奥の手を使った。
それは目の前の暁の妹が作ったシステムにして使用されたもの。
記憶の上書きと偽りの人生の移植。死んでしまった僕が生きる唯一の方法だった。

学文路 之が祖母の死で≪不確かなる二重奏≫に化けたように。
僕の場合はこちらの世界や彼女、彼女たちがつくった人形に会うまで発動しなかったが。
なにせ、たった3歳児が作り出したシステムだ。
タイムラグがでても仕方ないし、こうやって僕が生きている事だって奇跡なのだ。
ちなみに、完全に羽衣石 斗の兄としての記憶や学文路 之に助けられた記憶が戻ったのはあの終焉のベルを聞いた後だったが。
まぁ、そんな事を言っても無意味に等しい。

 

「・・・そうか。それじゃあ限りなく一人だ。あの双子よりも姉妹よりも的確に。」


かみ締めるように暁はそう言った。らしくない表情はどことなく悲しげに見えた。


「そうだね。そんでもって今頃、お前の願いがかなったりするんだ。」

「・・・えっ?何を、言っているんだい?」

「レマや弟によろしく言っといてよ。」

「待って!待った!何を言ってるんだい?確かに私はそれを望んでいた!
でも、違う。今は違うんだよ!生きろ!生きてくれ!そんな伝言は聞かない!絶対に聞かないから。自分で伝えろよ!」

 

 


動揺を隠せない暁を置いて僕はこの世界から消えた。

 

 

 


「・・・というのは、もちろん冗談だよ。」

自身で自身を騙す事に慣れてしまった僕はそんな汚い嘘までつけられるようになってしまった事に自虐的に笑う。これはやりすぎか、と弟がよくやるように自己嫌悪をしてみたが、一人の人間として意識をもってしまった今となっては意味がない。
僕は弟と違って甘くはないのだ。


「あ゛ぁ゛!!なに?なんの遊びかい?はかりん?君をどこぞの半目男の次に殺す人リストにあげるところだったよ?マジで俺様暁様の涙を利子付きで返せ!心臓止まるかと思ったじゃないか!!」

「大人気ないよ、暁。」

「りゃっほい!その声と顔でそんなことをいうのはよくないと思うんだな!大人で遊ぶなよ!!」

「そうそう、あの紙は学文路に言われた全員の名前と人形名が入ってるんだよ。」

激怒する暁に話をそらしてみるとへぇ〜っと間の抜けた声が聞こえた。
やっぱり、知らなかったんだ。


「そうなんだって、こんな事で誤魔化されてたまるか!俺様暁様って10回唱えても許してあげないよ!」

「ちなみに弟が絵本にする予定。ちょっと楽しそうだった。」

「楽しそうな、はかるんかぁ。良かった良かった。っておい!りゃりゃりゃ・・・もういいや。」


暁は僕を叱るのを諦めたらしく自身のコーヒーを飲んだ。
忙しい人だ。表情や口調もそうだが、裏で色々考えて動いて騙して。
烈火の言った斗に話しかけるときの嘘はそういうことなのだろう。
本音を暴露すると、どうでもいい。
どうせ僕らだって嘘をついてた訳だし。
あぁ、一応言っとくと烈火の時は嘘をついたわけじゃない。
暁がいった推測は正解なのだ。

それは記憶が戻った今、確信できる。あの時に嘘はない。


「・・・それでも僕は斗に悪いから、ここを出とくよ。レマのとこにでもいる。」


暁は僕の宣言を無言で聞き流す。
暁の頭の中で僕と斗を比較し、区別しているのだろう。
入れ替わりができなくなったのは残念だが、弟と話すこともないので別にそれでいい。
そっちの方が弟も助かるだろう。


「なんだったら学文路に言って新しい@dollでも作るよ。」

学文路 之とは死んでから知り合ったが、浅からぬ仲だ。
それこそ携帯電話番号を交換するほどの。
暁は返事をしないが、僕は立ち上がってここを出ることにした。
・・・ここはもう僕の来る場所じゃない。


「それじゃあな。終わっていた話。」

「また来いよ。認識する者。」

 

後ろから暁の声が聞こえたが僕は振り返らない。

 

 

 

 


 

−からくり人形は星を描く。−

 

                              描かれた星は美しく輝いていた。

 

 



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 42(最終話)




らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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42-≪ E N D ≫


 

「限界なんだよ、知っているだろ?理解しているだろ?感じているだろ?」


それは始まりの声にして、終わりの鐘。そして、電話の向こう側で聞いたセリフだった。
彼女は繰り返し言うのだ。自分の限界は、世界の終端は、有限であると示す為。



「≪からくり≫は解けた。君が羽衣石 斗ではないことも、彼が私の兄であることも。」


平坦な声だった。回りくどくもない彼女らしくもない、ただ普通の言葉だった。
読み終わった本の結論をいうように、淡々とした口調だった。
それは実に彼女らしくなかった。歪でもなんでもない、ありふれた少女は僕の腕の中の友人を見る。


「すべては種子だった、花は可憐な人形の血を吸って咲いたのだ。全ての準備が整った。」


彼女はゆっくりとした足取りでこちらへ向かった。


「すべては種子だった!君が、世界を終わらせるのを待ち続けていたのだよ!!」


彼女は訴えるように僕に言い放った。心の奥底を奮い立たせるような声だった。
僕はゆっくりと抱きしめていたレマを床に置き立ち上がった。
求められている何かを受け取る為に。体中血まみれになりながら、彼女を見た。


             君よ
「さぁ!≪九尾狐≫、終わらせるんだ。終焉で終演で周縁を、、、迎えてくれ。」
「何を言っているんだ・・・っ!」


彼女の言葉に反論をしたのは        僕ではない。
他ならぬ暁であった。切羽詰ったように発せられた言葉に、怒りの表情を纏っていた。
そんな暁とは対照的に彼女は冷ややかな目で見向きもせず、僕だけを見ていた。
暁は唇をかみ締めた。それもそうだ。
誰よりも終焉を望んでいたはずの彼が、世界を終わらせる鍵となる僕を殺そうとしたのだから。


「君は勘違いしている。計算違い、思い違い!違う違う、間違っているのさっ。
天一神 桜に”碧落ギニョール”、学文路 其に”からくり人形”。
 


                  秤                                                            
そして、≪羽衣石 斗≫は、この世界だ。」



わざとらしく彼女は笑った。その笑みは皮肉にも兄の暁を思わせるような笑いだった。
僕は初めて知らされる事実に驚愕した。・・・いや、実をいうと知っていたのかもしれない。
記憶の忘却。そんなもの、一番初めから起こっていたものだ。
自分が死んでいるのでさえ忘れている僕だ。
もうこの際、覚えていようがいまいが、たいして関係ないのかもしれない。

「聞いていない。そんな事、全然まったく聞いていないっ!!
急にそんなこと言われてどうしろというんだ!!」
「なにもしなくていい。君がする必要は、義務は、権利は、・・・ 何も存在しない。」


暁の悲痛な叫びが彼女を責める。妹を、世界を救おうとした彼が、結果的に見捨てられたのだ。
どうして兄である自分に言ってくれなかったのだ、とそんな気分でいっぱいなのだろう。
しかし、僕側からしても、
どうして暁はあの世界が自分の妹が作った世界である、と公言しなかったのだろう。
・・・それは、もしかしたら向こう側の”僕”に知られたくなかったのかもしれない。
なるべくリスクを伴わない方法で世界を、終わらせたかったのかもしれない。
だから、わざわざ”からくり”をつくった。噂という名の、からくりを。
世界がそれを解き明かす事で終わりを迎えられるように。





     星らを描くは隔離人形                            キミ                            秤
「≪  レマの死で星は導く   ≫!さぁ、あとは≪認識する者≫の番だ!≪羽衣石 斗≫!!」




彼女が叫ぶと同時に携帯が鳴った。いつから持っていたのかは分からない。
全員の目がこちらに向く。視線を浴びながら僕は携帯電話を開く。


・・・驚いた。
それは自分からの電話だった。いや、的確には僕の弟からの電話だった。
おそるおそる、通話ボタンを押した。




 

「からくり人形は星を描く。九尾狐に会いし者、我が紙の前にRe;Startし世界を繋げ。」

        

 

 


 



                -星屑は踊り赤い部屋に僕の声が響いた。

 







 


                                                               − E N D −



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 41


らヲ才苗くノヽカゝ<‘
}人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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41- ≪ 赤 い 月 ≫

 



 


「・・・許さない。絶対に、な。」


僕の心情を読み取ったような声は後ろから発せられた。
振り向かなくても分かる。レマの血の湖の中に包帯が沈んでいた。
おそらく彼のものだろう。 真っ白であるはずの包帯は彼女の血によって染まっていた。



「相変わらずだ。相変わらず私に反抗する。だから嫌いだったんだよ。
まったくもって計算外。レマと接触してたのも、君が此処にいるのも。」



今さっき使った拳銃をくるくると回しながら答えられた、
その声は聞き覚えのあるものだった。

いや、忘れるはずもない。
思い返せば、双子の不完全人形の話題の時もヤツの名が挙がった。
最初に僕に妙な肩書きを決めたのもヤツだった。
ギニョールの話題の時に必ずといいほど絡んでた。
なにより後ろにいる空羽と喧嘩するのはヤツぐらいだろう・・・・!









 


「・・・暁ッ。」
「学文路 其と呼んでほしいな。亡霊くん、初めまして、さようなら。」




いつもの伊達眼鏡は外されており、影のある瞳がこちらを見る。
どんな表情をしたって彼がレマを殺したことには変わりない。
その上、僕に別れの言葉を向けてきた。つまりは、そういうことだろう。
彼は無害ではなくなった。少なくとも現段階の”僕”にとっては。
今更、信用なんてする気はさらさらないが、確認の意を込めて僕は彼に問う。


「それで?お前は僕を殺すのか。」
「あぁ、そうだ。殺す。理由は終演の為さ。生きてない人間が生きてたら困るんでね。
安心してよ、弟さんには手を出さない。これは誓ってもいい。」


羽衣石 斗の中の彼の姿が脳内にちらりとよぎった。
その雰囲気は、記憶してたものと180度違った。
彼は暁とはまるで違う。そう僕が僕に語りかけていた。
”学文路 其”たしかに、そう表現するのが正しいのであろう。まさしく裏の顔だ。
それでも、目の前の彼が暁であることにはなんら変わりない。
誰の罪でもない、暁の罪なのだ。
それを忘れない為にも暁と称した方がよいのであろう。
僕を殺そうとしているのは・・・暁だ。

一方では、僕の腕の中のレマが次第に体温がなくなり、急速に冷たくなっている。
気のせいか、肉も硬くなっていき物体へと変化していく。
その様子は悲しく残酷なものだった。


「・・・あぁ、確かに存在しないものが存在する世界はおかしいさ。
                                           でもな、僕らは此処でしか生きられない。」


怒りを抑えたつもりでも声は怒気を纏っていた。
今すぐにでも暁を殴り飛ばしたい気分だった。
レマが死んだことのショックとそれが目の前の暁にやられたことへの恨みが僕を支配する。
本当に、目の前の少女を殺す理由と自分が殺される理由が分からない。も
ちろん、これから僕が殺される事もだ。
終焉だろうか、なんだろうか知らない。
そんな理由の為に、死ななきゃいけないのは真っ平ごめんだ。

あぁ、そうだ、レマ。今なら確証もって言える。僕は羽衣石 斗じゃない。君は正しかった。



「ただの感情論だ。此処でしか生きられないのは所詮は人形、道具にすぎない。」
「価値も眼鏡もないヤツは地獄で天国の麗しの人形に百億回謝罪でもするのだな。」
「道具に忠誠を誓うなど馬鹿げているね。猫の趣味は理解しがたいよ、まったくもって。」
「残念な事に、くだらん狂言をする眼鏡以下な存在に通用する言語は持ち合わせてない。」
「ふふ、奇遇だね。
  私も腐った頭の猫語を喋るような我輩さんとは頭脳が違いすぎて会話にならない。」


この状況下でも何処か懐かしさを感じている自分はなんなのだろう。
弟の記憶と完全にリンクしている、否、していたのだろ。
その役目は後になって分かったがレマがしていたそうだ。
よってその後の”からくり”での記憶は僕にはない。
空羽は僕を守るように暁の前に躍り出た。
暁の発言が正しいのなら次に殺されるのは僕だ。


「ねぇ、君だって聞いただろう?君は生きてないんだ。いつ死んでも同じだろ?
  だから、今   
                                  死になおせ。」

「嫌だね。生きられるのであれば、・・・生きていたい。」


暁の発言に僕は即答だった。迷いなんてない。迷いなんて必要なかった。
空羽の背中で表情は分からないが、
きっとあの芝居かかった笑みを浮かべているに違いない。



「そう、残念だね。その願いは果たされないよ。」



そう言って、暁は動きだした、のだろう。実際は空羽の動きを見た後で確認した事実だ。


しかし,戦争にはならなかった。否、なれなかったのだろう。

誰もが従わなければいけない王者にして絶対的なまでのルール。
忘れるはずもない物語にして、≪終わっていた話≫。





 

----そう、彼女だ。






オリジナル小説 「からくり人形は星を描く」 54

携帯から読めません。
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54

 


再び目を覚ましたとき土だらけ、ではなかった。
そちらの方が全然良かったと今になって思う。

 

「・・・・そんな。」

 

妙な脱力感と焦燥感が同時に襲う。
あれは嘘ではなかった。そう思ってもなにが証明となるのだろう。
こんな事ならなにかもらってくるのだった。
とくだらない事を思いながら僕は周りを見渡した。

 

そこは馬に乗ろうとして格闘した人っ子一人いない静寂に包まれた路地裏であった。
時が止まったようにスロー再生で僕の荷物が宙に浮いている。
浮遊した後、時計が時を刻むのを思い出したように急速に落下し、街も音を取り戻した。
慌てて僕は自分の携帯をスライディングする形でどうにか落下を防いだ。
他の画材や紙が崩れ落ちたドミノのような音を一斉に立てながら地面に叩きつけられていた。

 

「はぁ・・・。」

今までの疲れと携帯が無事な事に安堵した、ため息が自然と口からこぼれた。
肩を先ほどので無茶をやったせいか変な方向にひねって軽く痛かったが、普通に立ち上がることに成功した。
服のほこりを手で払い、落ちたものを拾い上げていく。
徐々に冷静さを取り戻し始めた頭が警告のサイレンを鳴らした。

 

「戻ってきた、ってことかな。」


確認のしようがまったくなく、否、確認する術も何もない。

・・・いや、的確にはあるのだ。
携帯を開いた。
いつも通り買ったときのままのチェス盤の待ちうけ。


壊れていない、か。
神隠しにあったケースとは明らかに違うわけだ。
だとしたら、成功だ。裏返しの自分にも納得させるための言葉を呪文の様に唱えた。


試しに一本、電話をかけてみた。
現状の確認とこれからについての話。
普通であれば、異界に行ってきたなどと話せば、妄想の類と笑われるであろう。
けれど、そいつは違った。
彼女は神隠しをした張本人にして物語最大の幕だ。…などと言っても僕の話とは別な軸で紡がれている物語だ。ここで語ることはない。

 

電話を終えて、今までの事をそっと思い出す。
初めて空羽に会った事、双子のいたずらや自身の不思議な話、
時雨の恋心、烈火の過去、・・・包帯、そして、暁。

 

再び、ゆっくりと目を開けると目の前に小さなデッサン人形がいた。
それは青年が星を降らせたように、二人の少年が世界を映し出し書き出したように、少女が音に祈りをささげたように、女性が斬りつけ否定したように、木製の30cm程度の人形が存在していた。
誰の物なんて愚問であろう。

僕は膝丈ほどのデッサン人形に話しかけることにした。
無論、デッサン人形は喋らない。
しかし、動きはあり、かたかとこちらへ歩いてきてくれた。

なんだろう・・・すごく、かわいい。
一般人であれば持てないような感想であるとは分かっていながらも、
僕にとってはペットショップの小動物を見ている気分だ。なんとも愛らしい。


僕は、あの世界の話とそして自分が作った噂を人形に聞かせた。
人形は一度頷いたのち、消えてしまった。

 

 


さぁてと。僕がやるべきことは、これが最後だ。

 

 

 

 

「からくり人形は星を描く。九尾狐に会いし者、我が紙の前にRe;Startし世界を繋げ。」

 

 

 

 

 

 

 


 


 

−終わりと始まりの電話は馬を呼ぶ口笛。

                              少年に描かれた星は美しく光るであろう。-

 

 

 

 

 


                            −END−



裏オリジナル小説「 星らヲ才苗くノヽカゝ<‘ }人形 」 40


らヲ才苗くノヽカゝ<‘
}人形


◎裏小説。
◎碧落読まなきゃ分からない
◎ってか読み終えなきゃのほうが正しい。
◎いつもどおり誤字脱字。
◎携帯から読めるかどうかは知らない。

以上、かな。
 

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40−≪ 掟 破 リ ≫

目の前には少女が居た。少女の名はレマ、であるはずだった。
先程のこともあり僕は彼女が『レマ』であるか自信を持って宣言は出来ない。
変わって点は一つだけあったが、それを除けばか細い少女はあの時と変わらない姿だった。
そう、彼女は目に傷をおったらしく包帯をしていた。その様子はどことなく彼を思わせた。


「君は僕を知っているっと答えたね。羽衣石 斗を知ってると。」


レマは答えない、小さく俯いただけだった。
それでも、僕はレマに問いかけるように言葉を続ける。


「じゃあ秤っていうのはなに?どうして、そんな事をするの?」


レマは、はっとなったように顔をあげた。
それから何か言おうと口をあけたのだが、何も決まらないようにパクパクと閉じたりあけたりした。
包帯まみれの手で唇をなぞるようなしぐさをして、困惑した表情を浮かべた。
この一連の動作は、まるで何か言おうとするが口止めされているみたいだった。

「言えないの?」

僕の問いかけにレマは決意を決めたように、まっすぐした瞳でこちらを見た。


「私が、私、で、なくなる、かもしれ、ない。其、や、心が、言う、なってッ!で、も」


レマは途切れ途切れに言葉をつむいだ。いつもと違い切羽詰ってるのか目には涙を浮かべている。
僕は直感的に、レマがその口止めされている事を言うと取り替えしのつかないことになるような気がした。
レマを止めようという善意のある回答と口封じをされる程までの事実を知りたいという好奇心が僕の中で渦巻く。
天秤の傾きは確認するまでもなく前者だった。
前回の過ちもあり好奇心だけで行動するのは浅ましい。

「いいよ、レマ。無理をしなくて。」
「いい、言う。言え、る。言わせて、お願い。」


レマは頼むようにそう言った。僕は渋々頷いてレマの話を聞くことにした。
本当に取り返しのつかない事になるのなら口をすぐに塞げばいい。
それだけだとその時はそう思っていた。


「・・・、あなたは、死んでいるの、秤。」


僕はレマの宣言になにも言えなかった。
馬鹿げているだのどうしてだの全ての言葉を投げ捨てて、なにも言わなかった。
それは絶対的な否定からもあったが、妙に納得してしまっている自分もいたからだろう。


「秤は、マスター、学文路 之の、実験材料となった、名もない、少年。羽衣石 斗の、兄。」
「・・・兄?僕が・・・?」


レマの言ってる意味が分からなかった。
分かるはずがないぐらい思い当たる節がない。
一体誰の話をしているのだろう。そんな気でもする。僕が死んでいる?羽衣石 斗の兄?
・・・まったくもって信じられないし、実感もない。いや、実感はあるものかもしれない。
実感がある自分や納得する自分に僕自身疑問を抱いている。
けれど、どう考えても回答はでない。

「そう。少年は、名前をつける前に、死んでしまった、の。だから、貴方は、弟の名で、呼ばれた。」


喋るのがつらくなってきたのか、喉を押さえてしかめっ面になるレマ。
包帯の巻いた片目は血の色に染まる。そんな少女を僕は心配とそれとは真逆の冷静な目でみた。
レマに会った時からそうだった。これは夢の世界なんだと、それでも信じて生きてみようと。
これを信じたら僕はどうなるんだろう、信じてたものが全てなくなる。一体全体なにを信じればいい。
信じるものがなくても生きていける事を知っていても、自我を失うのはやはり怖かったのである。


「学文路 之は、あなたを、世界を認識する、2年前に、知った。
                                                          わずか3歳の、少女が、あなたを、助けた。」

「そんな非常識な話・・・。」

「ある、の。あなたは、ずっと、弟を、待つため眠っていた。馬となり、鹿となり、猫、鷹、蛇となり、
それこそ、狐、の様に、化けて、弟に、会いにいった、の。あなたは、羽衣石 斗、の・・・」



言いかけたレマの言葉は続かなかった。否、続けられなかった。



銃音が虚しく部屋に響く。

火薬の独特な匂いと白い煙が少女の体からたちこげる。
レマはもう一度話そうと口を開いたが、溢れ出す血で喋る事はおろか閉じる事さえも出来ない状態となった。
どこを撃たれたのかは分からないが一番醜い死に方になっていた。
僕はレマに駆け寄った。悲しい程無力な腕の中に少女の死骸が息をする。
死骸はもちろん息をしないが、この状態は息をしていると表現すべきだと僕は思った。
生ぬるい血や白目をむき一回転した瞳も口から溢れ出した臓器もそれらに絡まった舌も息をしていた。
生気のないハズの体はまだどこか動いているように思わせた。そんな夢話、決してないのに。
彼女の言った事を確かめる手段はない。
それでも、こんな姿になるのを見越してまで言った言葉に偽りなどないのだろう。
哀れな人形の前に亡霊の僕は無機質な涙を落とした。
そして彼女の言葉を彼女に語りかけるように続けた。

「羽衣石 斗の兄だから、ね。」


言葉にすると、とても頼りなく悲しかった。と、同時に改めて少女に対する感情が芽生える。
僕が殺したようなものだ。どうしてこんな可愛いらしい少女が死ななきゃならなかったのだろう。
そもそも誰が殺したんだ。
いや・・・心当たりはある。しかし、僕はそいつを見たら赦せる気がしない。
きっと憎悪の念しか抱けない。
レマと話したいことももったあったし、遊びたいことも、謝りたい事もあった。
全てのレマの未来を奪った人間をきっと僕は赦せないだろう。
自分のせいで死んだ事実をすりかえたいんじゃない。
確かに僕も悪い。
けれど・・・けれど、引き金をひいたのはヤツだ。僕は静かに腕の中の少女から目線を外した。

・・・・あぁ、見るんじゃなかった。



そう後悔した時にはなにもかもが遅すぎたのだ。




オリジナル小説「からくり人形は星を描く」 53

携帯から読まないでください。


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53

今回の仕事である“亡霊の声を道標に子供が消え行く”は、実際にあのあたり一体に音が流れていたらしい。
それはいわゆるモスキート音と呼ばれる周波数が高く若者しか聞こえない音だったらしい。僕と一つ下の烈火はあのように特殊な耳の持ち主だったからすぐさま聞こえ、不快感を表したように頭を抑えた。


ちなみに、聞こえる年代は双子と同じ10歳前後だと烈火は言っていた。
本当に音が流れていたから、噂が真実である可能性もあったので、その後の処理は暁がなんとかするらしい。
しかし、仮定としては猫が動いていて子供に見えたとか迷う中で森の中で誰か居るように見えた、など考え出したらきりがない。
あと、昼間になって実際にその場所にいった時雨はラジカセを発見したと言っていた。
それは念入りに壊してもらったが何にしても悪質ないたずらだ。
ちなみに、物の怪に関しては今回は噂の真偽が分からないのに猫をいじめる事は出来ないと猫愛好家二名(烈火と空羽)により却下となった。
今回の事件についての説明はそんなところらしく、ぶっちゃけた話をすると僕が寝ている間に色々とすんでいた。
置いてかれた気もしなくもないが、後始末をしてくれたのだから感謝すべきところなのだろう。ちなみに今は食事もすませてお昼寝には最適な午後2時で隣にいる暁と男二人で外に出ている。空羽の時や双子のときには気がつかなかったけど、もしかすると変な情景なのかもしれない。
しかし、これも仕事のうちだ。居候の僕がどうこう言える問題じゃない。
何処に向かっているかというと僕も一切不明。暁が着いたよっと楽しそうな声で言った。
改めて場所を見渡すと、そこはなんともミステリアスな雰囲気だった。というか肝試しだ。


「墓場・・・?」

「そうだよ、はかるん!そういえば双子の時にびびったらしいね!ふふ、怖いかい?怖いかい?ちなみに今回は“呪われし墓に行くと足をなくした幽霊が足をとりにいく。”っていうものさ!怖いかい?怖い??もし怖くても悲鳴はあげちゃ駄目だよ!そんな事でもされたら矢の様に烈火と時雨が俺様暁様を殺しに来るからさ!ってこんな場所で縁起でもないね。埋葬の手間が省けるとかおもっちゃ駄目だよ!」


そう言いながら暁は僕の手を強引に引いて数あるお墓をくぐりぬけて一番新しいであろう墓の前で止まる。

まったく双子は口が軽い。とは言ってもこの程度で怖がる僕ではない。
大人しく墓の前でじっとする。気のせいか温度も低く湿っている。
昨日とはまた違った陰湿さがある。


「あぁ、ちなみに今回はもう解けてるんだ。噂屋なめんな。みたいな?みたいな?りゃりゃ、かっけぇ事言っちゃったかい?お?はかるん、その様子はもう蛇に絡まれている感じだね。でも、残念答えはそれじゃないんだぁ!答えは土だよ、この墓の前だけ地盤がゆるくてネェ。ほらゆるゆるやわらかい〜。、」


暁はそう言いながらわざとらしく笑う。、
まさかのスピード解決だ。というかこんなに早く終わって言いのだろうかと疑問を浮かべたが、それどころじゃなかった。

完全に足をもってかれている。
もちろん幽霊のせいとかそんな非科学的な話ではない。
暁の言うとおり僕の片足には生ぬるい蛇の感触が絡まり地盤がゆるいせいで抜け出せないのである。自由な片足を動かそうとしても土が重たくて動かない。
靴の間に土が入りなんとも気持ち悪い。服の上からでも土の感じがあって僕は思わず鳥肌が立つ。
暁の方をみるといつになく僕のほうを見下している。いや、違うこれは・・・・!
僕が状況を理解し悲鳴をあげようとした時には既に遅かった。そう、遅すぎたのだ。


「はかるん、じゃあね。」


にこやかに笑う男を見ながら僕だけが地面に引っ張られていった。
何故、僕だけがという疑問はすぐさま浮かんだが回答が出る前に僕は土まみれとなっていた。